2018/04/02

ツリフネソウの花粉を食すコアオハナムグリ



2017年9月上旬

山麓の湿地帯(休耕田)に咲いたツリフネソウの群落でコアオハナムグリGametis jucunda)が訪花していました。
花に潜り込んで花粉を食べているようです。
ツリフネソウの花蜜は、花の後部でくるりと巻いた距の先端にあるのですが、図体の太いコアオハナムグリは蜜腺までとても口が届きません。

とても長くてしなやかな口器を有するトラマルハナバチやスズメガ類を送粉者として指名するようにツリフネソウは花の形状を共進化させてきたのです。

一方、コアオハナムグリはツリフネソウの花粉を報酬にして送粉を助けていると言えそうです。


2018/04/01

苔むしたコナラの樹液酒場で吸汁・排尿するオオスズメバチ♀



2014年9月上旬

里山の雑木林でコナラの苔むした幹の根元付近でオオスズメバチVespa mandarinia japonica)とモンスズメバチVespa crabro flavofasciata)のワーカー♀が小競り合いしていました。
体格で圧倒的に勝るオオスズメバチがモンスズメバチを追い払うと(@〜0:05)、大顎で激しく噛み付いて苔を円形に剥ぎ取り樹皮を露出させました。
しかし、ここは樹液の出が悪かったようで離れました。
あちこち飛んで移動すると、苔むした幹で樹液の滲むスポット(樹液酒場)を探索しています。
おそらく樹液の微かな匂いを頼りに探し回り、あちこちで幹を覆う苔を試しに剥ぎ取っています。

苔を毟る作業中に腹端を少し持ち上げると、透明の液状便(尿)を勢い良く排泄しました。(@4:35)
オオスズメバチのおしっこを撮影できたのは、これが二度目です。

▼関連記事
ミズナラの樹液を吸いつつ排泄するオオスズメバチ♀
排尿したということは、それまで樹液を大量に吸汁していたと思われます。
しかし私の目には、この幹から樹液が分泌しているようには見えません。
通常スズメバチは樹皮に噛み傷をつけて樹液の分泌を促すのですが、もしかするとこのコナラ幹では柔らかい苔に樹液が染み込んでいて、オオスズメバチ♀はそれを大顎でスポンジを搾り取るように吸汁しているのかもしれない…と想像を逞しくしてしまいました。
もし樹液が全く出ていないのなら、スズメバチは長居せずにすぐ立ち去るはずです。

樹液の匂いに惹かれて近づいてくるハエやクロアリ(種名不詳)をオオスズメバチ♀は嫌がり、牽制しました。
その場で短く羽ばたいて威嚇したり、強大な大顎を見せつけたりしています。

チャイロスズメバチ♀が守っている樹液スポットの付近を飛び回ったときは、不思議とオオスズメバチ♀は喧嘩を挑みませんでした。
樹液酒場でチャイロスズメバチの序列(力関係)はオオスズメバチに次いでナンバー2ですから、手強い相手だと認識しているのでしょうか。

このオオスズメバチ♀の腹端付近をよく見ると、スズメバチネジレバネXenos moutoni)に寄生されているようです。

▼関連記事
ネジレバネに寄生されたオオスズメバチ♀がコナラの樹液を吸汁

※ どなたかこのコケ(苔)の名前をご存知でしたら教えて下さい。


飛べ!セグロシャチホコ♂(蛾)【ハイスピード動画】



2017年9月中旬


▼前回の記事
繭を紡ぐセグロシャチホコ♂(蛾)終齢幼虫

繭を紡いでから10日後、室内でセグロシャチホコ♂(Clostera anastomosis orientalis)の終齢幼虫が羽化しました。
繭から羽化する様子は残念ながら見逃してしまいました。
夜中に消灯したら暗闇の室内を蛾が飛ぶ羽音が聞こえました。

繭を容器に閉じ込めていなかったので、羽化した成虫が逃げ出したようです。
翌朝、天井に止まっていた個体を写真に撮ると、セグロシャチホコ♂でした。
腹端に毛束が見えるので♂と判明。

白い繭を見ると、左端(柳の枝の根元側)から羽化脱出したようです。

更に翌日になると、明るい窓にかかったレースカーテンに止まっていました。
飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました(@1:19〜)。
指で軽く触れると、準備運動なしにいきなり飛び立つ時もあれば、翅を広げて小刻みに震わせてから飛ぶこともありました。
正の走光性があるようで、少し飛んでも明るい窓際のレースカーテンに舞い戻ってきます。

逆光の条件でハイスピード動画を撮るために蛍光灯で蛾を照らしたら、蛍光灯のチラツキ(明滅)が目障りになってしまいました。
強制的に何度も飛び立たせてしつこく撮影したら嫌気が差したのか、セグロシャチホコ♂は最後に長く飛んで天井に避難しました。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


セグロシャチホコ♂(蛾)@天井
セグロシャチホコ♂(蛾)@天井
セグロシャチホコ♂(蛾)@天井
セグロシャチホコ♂(蛾)繭@羽化後
セグロシャチホコ♂(蛾)@白壁+採寸
セグロシャチホコ♂(蛾)@レースカーテン
セグロシャチホコ♂(蛾)@レースカーテン
セグロシャチホコ♂(蛾)@レースカーテン+準備運動中。この姿勢(翅形)を見るのは珍しい。

以下は死後の標本写真。
羽毛状に発達した触角と腹端の毛束を確認しました。

(生前は触角の形状をしっかり見分けられませんでした。)
脚は前脚だけ太く見えます。(毛が密生?)
口吻は退化しているのかな?

後翅の色は地味でした。

セグロシャチホコ♂(蛾)繭+羽化殻@方眼紙
セグロシャチホコ♂(蛾)繭+羽化殻@方眼紙
セグロシャチホコ♂標本:背面
セグロシャチホコ♂標本:側面
セグロシャチホコ♂標本:側面
セグロシャチホコ♂標本:腹面
セグロシャチホコ♂標本:腹端の毛束(腹面)
セグロシャチホコ♂標本:羽毛状の触角
セグロシャチホコ♂標本:右前翅
セグロシャチホコ♂標本:右後翅
セグロシャチホコ♂標本:退化した口吻?(腹面)

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