2017/11/25

小枝をかじり脱糞するイラガ(蛾)幼虫



イラガ(蛾)の飼育記録#2016-9



▼前回の記事
糸を吐いてぶら下がるイラガ(蛾)幼虫

2016年9月中旬

イラガMonema flavescens)の終齢幼虫は小枝の二又になった部分によく繭を作ります。
繭を紡ぐ足場としてメタセコイア(イラガの食樹植物ではない)の小枝を与えてみても、なかなか営繭を始めてくれません。
わざわざY字状の小枝を折ってきて与えたのに、なぜか先端の折口に興味を示して表面を齧っています。
空腹による異常な摂食行動とは考えられません。
なぜなら餌となる食樹の葉も一緒に与えているのに小枝から脱走して探索徘徊しないからです。

幼虫はときどき体を左右に揺すって(傾けて)ローリングしながら樹皮をかじっています。
ささくれのように小さくめくれた木屑が小枝の表面に残っています。
斜めになった折口を口器で齧って「面取り」しているように見えます。
おそらく、これから営繭しようとする場所の接着面を加工しているのでしょう。

樹皮噛りに熱中しているイラガ幼虫の腹端を見ると、いつの間にか排便していました。
普段見る黒っぽい湿った糞ではなく、白っぽくて乾いている印象です。
糞が乾いているせいで糞切りが悪く(便秘?)、肛門の近くの毛に薄い黄土色の糞が付着したまま落ちないでいます。(@2:03〜)
食べた樹皮のセルロースを消化できずに排泄したのでしょう。

石川象二郎『わたしの研究:イラガのマユのなぞ』を読むと、著者は営繭の足場として箸を与えて実験していました。

糸をはくまえに、はしの表面をかじることがありますが、かじることは、マユをつくるために、どうしてもひつような動作ではありません。 (p62より引用)


せっかく苦労して枝の表面を加工したのに、イラガ幼虫はここにも定着せず、移動してしまいました。
今回たまたま採取してきたメタセコイアの小枝の表面は比較的ツルツルしているので、イラガの絹糸との接着相性が悪いのかもしれないと考え、粗いサンドペーパーで表面を磨いてザラザラに加工してやりました。
それでも、一体何が気に入らないのか、イラガ終齢幼虫は相変わらず営繭を始めてくれません。
もしかすると絹糸腺など体内の生理状態が営繭の準備に入るのをただ待っているだけで、思わせぶりな樹皮噛りも単なる暇つぶしの行動なのでしょうか?

小枝の太さや曲率が気に入らなくて、加工しているのかもしれません。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#10:繭を紡ぎ始めたイラガ(蛾)終齢幼虫


ストロボを焚いても、フードに隠れている口元を接写するのは至難の業

ミシシッピアカミミガメの甲羅干しと潜水



2017年8月上旬・午後16:16

蓮池で大きなハス(蓮)の葉にミシシッピアカミミガメTrachemys scripta elegans)が乗って休んでいました。
甲羅の上半分と頭部は水面から上に出ていて、甲羅干し(日光浴)しているようです。
同時に、葉の中央部に溜まった水で半身浴しています。
水から上がってハスの葉に乗ったときに、亀の体重で少し(程よく)沈んだのでしょう。

初めは後ろ姿しか見えませんでしたが、私が少しずつ近づきながら撮り続けると、カメは横目でこちらを見ています。
私が更に近づくと、首を動かしてこちらをキッと見据えてからゆっくりと首を元に戻しました。
遂に、カメの顔を正面から狙えるアングルまで回り込みました。
しつこいパパラッチに辟易したようで、カメは急に左に向きを変えると、ハスの葉から下りて泳ぎ始めました。
泳ぐときは頭部が水面から上に出ていて、鼻呼吸も目視も可能です。
最後は潜水すると、濁った水で姿が見えなくなりました。
蓮池の水面に波紋だけが残りました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。




『日本の両生類・爬虫類』p70によると、

(ミシシッピアカミミガメの)目の後方の赤い模様は幼体・成体ともに変わりない。


重い亀が居なくなった後のハスの葉は、ロータス効果(撥水性)を発揮して、ほとんど濡れていません。
▼関連記事
水を弾き泥汚れも付かないハスの葉の秘密:ロータス効果の実演




【追記】
『カメのすべて(カラー図鑑シリーズ)』によれば、
アカミミガメも、クサガメやイシガメと同じように甲羅干しが大好きです。昼間、温かくなってくると流木の上で一日中じっとしているのです。豊かな太陽光線は皮膚に付いたヒルなどの寄生虫を落としてくれたり、甲羅に生えてくる苔を防いでくれるのです。また日光は、骨の形成に欠かせないビタミンDを補ってくれます。ビタミンDが不足すると、堅いはずの甲羅が歪んでしまったり脆くなってしまうのです。だから、甲羅干しはカメにとって欠かせない日課となっています。体の大きいアカミミガメは、いつもクサガメやイシガメを押し退けて、甲羅干しに一番良い場所を取ってしまうのです。 
 また、変温動物であるカメにとって、体温の調節はとても大事です。体温が低くなると食べたものをうまく消化できなくなってしまうのです。一方、体温が上がり過ぎると日射病になってしまうこともあります。アカミミガメは、泳ぎも上手なカメなのです。(p23より引用)

亀が日光浴(甲羅干し)する目的として、ビタミンDを体内で合成するためとは知りませんでした。



2017/11/24

糸を吐いてぶら下がるイラガ(蛾)幼虫




イラガ(蛾)の飼育記録#2016-8



▼前回の記事
脱皮後に抜け殻を食すイラガ(蛾)若齢幼虫【60倍速映像】

2016年9月中旬

そろそろ繭を紡いでくれないかと思いつつイラガMonema flavescens)の幼虫を飼っていると、枝から滑落しました。
口から吐いていた細い絹糸一本が命綱となり、宙吊りになっています。
自力で小枝に戻るのかどうか見届けたかったのですが、私も忙しかったため撮影後に救助して元の小枝に戻しました。
飢えて弱っているのかと初めは思ったのですけど、隣の木に移動したいときにショートカットするため糸で懸垂下降してから自発的に地面にボトッと落下することもありました。(その記録映像を撮りたかった…。意図的な行動なのか、ただの結果論なのか?)
営繭に適した場所を探して徘徊しているのかもしれません。

つづく→#9:小枝をかじり脱糞するイラガ(蛾)幼虫


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