2016/05/09

ナガコガネグモ(蜘蛛)の卵嚢



2015年11月上旬

最上川に注ぐ小さな水門の隅にナガコガネグモArgiope bruennichi)の卵嚢を見つけました。
卵嚢の上端が開いているのは正常なのかな?(出嚢後の古い卵嚢である可能性は?)
採寸代わりに右手の人差し指を並べて映し込みます。
卵嚢を周囲に固定する糸には粘着性がありませんでした。

越冬後に採集して飼育下で幼体の出嚢を観察するつもりでしたが、春になったら卵嚢は無くなっていました。
卵は卵嚢内で秋のうちに孵化し、そのまま越冬して、翌春に一回目の脱皮をした後に分散する[4]。(wikipediaより)
一度雪に埋もれて溶けた際に卵嚢も一緒に落ちてしまったのか、あるいは鳥が捕食したのでしょうか?


2016/05/08

雪国で疥癬タヌキの散歩を追跡すると…【前編】



2016年2月上旬

農村部で一頭のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が歩いていたので、追跡することにしました。
ビデオカメラを手に忍び寄ってみると、タヌキは針葉樹の根本をうろついています。
地面(雪面)の匂いを嗅ぎまわって食物を探し当てたようで、何かを口にしました。
雪面を歩き始めたタヌキを見ると、全身がずぶ濡れで毛並みがとても悪い個体です。
頻繁に身震いして、ボサボサで油気のない毛皮から水気を飛ばそうとしています。
明らかに病気のタヌキです。
この症状は疥癬にかかって毛が抜け始めたのですかね?(間違っていたらご指摘願います。)

撮影は2月ですから、タヌキの毛が冬毛から夏毛に自然と生え変わる換毛期(5〜7月)ではありません。
たんに老齢で脱毛している可能性もありますかね?

参考資料:「タヌキの脱毛症状(疥癬症)について(2010年7月暫定版)PDFファイル」

雪面に残るタヌキの足跡はフィールドサインの本に書いてある通りで、確かに狐と異なり左右の幅があります。
雪囲いされ冬は使われていないログハウスにタヌキは向かうと、その周囲をぐるっとひと回りしました。
一度は中に侵入しかけたものの、すぐ外に出てきました。

ログハウスを一周したタヌキが反対側の軒下で身震いしました。
私の方を見ても、さほど驚いた素振りはありませんでした。
衰弱しているのか、それとも本来タヌキは視力が弱いのかな?
タヌキは再び雪面を歩き始めました。
大木の根元で露出した地面の匂いを嗅いでから、また身震いしました。

私が急いで先回りして待ち伏せしていると、タヌキが右手から雪原を歩いて来ました。
除雪されて雪の無い舗装路に飛び降りると、道の真ん中の匂いを嗅いで立ち止まりました。
こちらを振り返ってもそれほど驚かず、トコトコと歩き去りました。

仮に目が悪いにしても、イヌ科の嗅覚で私の存在には気づいているはずです。
大胆なのかと思いきや、路上の枯葉が風で動いたのに反応して振り返りました。
やはり衰弱しているのか、あるいはよほど人馴れした個体なのではないかという気がしてきました。
建物の角を曲がるとスギ疎林の方へ向かい姿を消しました。

慌てて追いかけると、沢に近い杉の木の下でタヌキと再会。
地面が露出した林床の匂いを嗅ぎ、身震いしていました。
後で思うと、杉林にタヌキの溜め糞の有無を確認すべきでしたね…。
もしかするとタヌキは縄張りをパトロールしてから杉林に溜め糞(共同便所)をチェックしに来たのかもしれません。
実はタヌキは私の存在に気づいていて目を合わさないように木陰に隠れたり私をまこうとしているのかと思いきや、また戻って来ました。

左脇腹の毛が抜けているように見えますが、毛皮が水で濡れているだけなのか、素人目には分かりにくいです。
やっぱり疥癬症の軽症例なのかなー?

疥癬とは、ヒゼンダニ類のダニが皮ふに寄生しておこる、かゆみを伴った伝染性皮膚疾患である。タヌキから発見されたヒゼンダニは、センコウヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)であった。(中略)重篤な状態になったタヌキの大部分が、細菌の二次感染や冬季の体温維持不全などにより死亡する。
(現代日本生物誌3『フクロウとタヌキ:里の自然に生きる』p104より)
タヌキは雪原をどんどん歩いて車道の方へ向かっています。
果たしてどこへ行くのでしょうか?

つづく→後編(衝撃の結末を見逃すな!)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ムモンホソアシナガバチの古巣と謎の食痕



2015年10月中旬

石灯籠内で営巣するムモンホソアシナガバチの定点観測記録#5


ムモンホソアシナガバチParapolybia indica)のコロニーは解散していました。
結局、この巣はあまり大きくなれませんでした。
創設女王が何らかの原因で早死したのかもしれません。

7日後に再訪し、やはりコロニーが解散していると確信したので、古巣を採集ました。
ナイフで巣柄を切り落とし採集してみると、巣盤の上部が何者かに食い荒らされていました。
野鳥が石灯籠内に侵入して巣盤の上部だけを啄むことは不可能です。

天敵のヒメスズメバチに襲われたのか、それとも寄生蛾の幼虫の食痕かな?
シミ(紙魚)やワラジムシ、ゴキブリ、ナメクジなどの仕業かもしれません。



採集した古巣を密閉容器に入れて保管します。
冬を越しても今のところ寄生蛾の成虫は羽化してきません。

調べたサンプル数が未だ少ないのですけど、同じ地域に生息するPolistes属のアシナガバチに比べてParapolybia属のホソアシナガバチの巣は寄生蛾による攻撃(産卵・食害)を免れている印象があります。
例えば以下の写真は、今年定点観察してきたセグロアシナガバチ?(キアシナガバチ?)の古巣を同じ日に撮った写真です。
ムモンホソアシナガバチの営巣地に近い軒下に巣を作っていたのですが、夏に寄生蛾♀(おそらくマダラトガリホソガの一種Anatrachyntis sp.)に産卵された結果、幼虫に巣材を食い荒らされ育房内は寄生蛾幼虫の糞や糸でひどく汚れています。
育房からアシナガバチ成虫の死骸の脚が覗いて見えるのが不気味ですね。
羽化に失敗したのか、育房に頭を突っ込んで休んでいるまま死んだのでしょう。

巣材の違いによる好き嫌いなのか、在巣のワーカーの対寄生者防衛法に違いがあるのか、そもそもホソアシナガバチ類の生息数が少なく巣を見つけにくいためか、とても不思議です。

シリーズ完。



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