2015年12月上旬
▼前回の記事
越冬休眠していたフタモンアシナガバチ新女王の覚醒
コガタスズメバチ巣の定点観察@祠・軒下#6
採集してきたコガタスズメバチ(Vespa analis insularis)の古巣の外被を慎重に解体して中を調べていると、とても小さな蜂が一匹出てきました。
キアシブトコバチ(Brachymeria lasus)のようです。
寄生蜂の一種ですがスズメバチ類を寄主としている訳ではないので、コガタスズメバチの生活史と直接の関係はありません。
隠れ家を壊されたせいで休眠から覚醒し、飛ぶ元気はないものの辺りを歩き回ります。
方眼紙の上に自発的に乗ってくれて、採寸の手間が省けました。
『ハチハンドブック』p25によると、キアシブトコバチは樹皮下などで成虫越冬するらしい。
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群飛・集合するキアシブトコバチの謎
したがって、スズメバチの古巣に潜んで冬越ししても不思議ではありませんね。
私は本種の性別判定法を知らないのですが、越冬するのは♀だけなのですかね?
それとも♂も越冬して、春になったら交尾するのかな?
残念ながら、飼育下での越冬には失敗しました。
以下は標本写真。
ちなみに断熱効果に優れた古巣内で越冬していた居候としては他に、キアシナガバチ(Polistes rothneyi)新女王も1匹だけ見つかりました。(映像なし。以下に標本写真)
スズメバチの空き巣は千客万来ですね。
シリーズ完。
2016年1月中旬
この冬の目標の一つは、カラスの集団塒の位置を突き止めることです。
この日の日の入り時刻は午後16:41、月齢は5.1(三日月)。
日没直後から追跡開始。
郊外にある鎮守の森の上空を夕方になるとカラスの群れが続々と飛んで行きます。
カラスの向かった先へ少し追いかけると、農地(畑や林)の上空を乱舞していました。
携帯電話のアンテナ塔で群れの一部が一休みしました。
群れは鳴きながら更に移動しています。
ちなみに、このときの照度は9ルクスでした。
カラスの群れを更に追いかけると…。
つづく→高圧線の鉄塔に就塒前集合するカラスの群れ(冬の野鳥)
『Birder 2012年8月号 特集:鳥たちの夜の世界』p36-37 中村純夫「カラスはねぐらで何をしているのか?」より
平安時代の昔から、カラスのねぐら入り行動は知られていた。清少納言は『枕草子』の中で「秋は夕暮れ、夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏の寝所へ行くとて、三つ四つ二つ三つなど、飛び急ぐさへ、あわれなり」と、烏の帰塒行動を詠んでいる。
暗い条件では望遠レンズが使えず、カラスの種類を見分けられませんでした。
普段(昼間に観察すると)この辺りはハシブトガラスよりもハシボソガラスが圧倒的に多いです(優占種)。
日本海側の穀倉地帯や積雪地帯という風土とハシボソガラスの生態とが、どのように関係しているのか、興味ある問題である。(『ネオン街に眠る鳥たち:夜鳥生態学入門』p85より)
ハシブトガラスとハシボソガラスとでは、日中の採餌の場所や習性は微妙に異なっているのに、夜の塒は同じ場所を利用することが多い。(混合集団塒:同書p170より)
2015年12月上旬
コガタスズメバチ巣の定点観察@祠・軒下#5
▼前回の記事
コガタスズメバチの古巣で集団越冬するフタモンアシナガバチ新女王
採集してきたコガタスズメバチ(Vespa analis insularis)の古巣の外被を更に壊すと、単独で越冬していた別個体のフタモンアシナガバチ(Polistes chinensis antennalis)新女王が見つかりました。
覚醒して触角が動いています。
やがて、壊した外被上をゆっくり歩き回り、化粧を始めました。
身繕いで前脚と触角を綺麗にしています。
計4匹のフタモンアシナガバチ新女王を別のプラスチック容器に閉じ込め、屋根裏部屋で越冬させることにしました。
容器に移す際に蜂をピンセットで摘み上げたら毒針で刺そうとしました。(映像なし)
ところが残念ながら室内越冬の試みは失敗してしまい、春には全滅していました。
室内ではなくしっかりと冷たい外気に晒した方がむしろ越冬生存率が高かったかもしれません。
今季は異常なくらい暖冬だったので、蜂が季節外れに覚醒してしまい容器内で消耗して春を待たずに死んでしまったのでしょう。
つづく→#6:コガタスズメバチの古巣で越冬していたキアシブトコバチ