2016/04/23

岩山を遊動するニホンザル



2015年11月中旬

▼前回の記事
野生ニホンザルの交尾

交尾していた野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の♀♂ペアが居なくなってすぐ、別の猿が岩山の下から登って来ました。
股間に睾丸が見えますが、赤くないので若い♂(発情していない)のようです。
もう1頭は♀かな?(自信なし)
2頭が連れ立って斜めに登り、群れの後を追うように遊動して行きました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2016/03/20

野生ニホンザルの交尾



2015年11月中旬


▼前回の記事
ニホンザル♂を毛繕いする発情♀(求愛・誘惑・前戯)

野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の♀♂ペアが岩山(採掘場跡?)で群れから離れて毛繕いを続けています。
小柄な♀は♂の毛皮から蚤取りしつつ、♂に体を密着させています。

突然♂が♀の背後に回って馬乗りになりました。(マウンティング@1:27)
その後♂は四足になり、岩山の麓を見下ろしています。
その脇腹を♀が甲斐甲斐しく毛繕いしています。
再び♂が♀に短いマウントを行うと(@2:25)、カップルは仲睦まじく並んで座りました。
もう一度♂が♀に短いマウントを行いました。(@3:00)
胡座をかいて座った♂が自分の右腿および脛を掻いて毛繕い。(@3:13)
その間、♀は手持ち無沙汰になりました。
また♂が♀に短いマウントを行いました。(@4:00)
これを最後に♂が♀から離れ、独りで右へ歩き去りました。
おそらく群れの本隊と合流するのでしょう。
♀は少し追いすがるも、居残りました。
岩山を右へトラバースした♂は灌木の茂みに姿を消しました。
♂の後ろ姿を見つめていた♀も別ルートで同じ方角へ移動を開始。
斜面を斜めに登り、ススキの茂みに姿を消しました。
♀の臀部(お尻)も赤くなっていて、これが発情の印です。

※ 動画編集時に自動色調補正を施してあります。

野生ニホンザルの配偶行動らしきものを初めて観察できて非常に嬉しく思いました。
♂から♀へ毛繕いのお返しが一度もありませんでした。
このカップルの場合は、♀が♂にすっかり惚れていて、好意が♀から♂へ一方的なのだろうと解釈しました。

♂が交尾を挑む寸前に♀が♂にプレゼンティングしたのかどうか、私にはその辺りの機微がよく分かりませんでした。
今回のペアは♀の毛繕いを受けて高まった♂が短時間のマウントを計4回繰り返しましたが、本当に交尾したのでしょうか?
挿入や射精の有無は確信がもてませんでした。
マウントの際に♂は腰をスラスト(ペルヴィック・スラスト)しておらず、素人目にはペニスを挿入したようには思えません。
交尾を迫る発情♀の機嫌を損ねないように(♀に恥をかかせないように)形式的な(お座なりな)マウントではないか?という気もします。(擬人化し過ぎ?)
ニホンザルの交尾の挿入時間は通常この程度の短さなのですかね?
別れた後、♀の尻に精液が付着しているようにも見えません。(遠過ぎる?)
別れ方も淡白で、♂は♀に何の未練もなく離れて行きました。

♂を追いかけなかったということは、交尾・射精が無事に終わり♀が満足したと判断して良いのかな?
ニホンザルは妊娠可能な発情♀をライバル♂から守る交尾後ガードをやらないのでしょうか?

『ニホンザル観察事典』p34-35によると、

・発情した♀は、おしりを赤くはれあがらせ、「ウニャー、イヨウー」と切なげに鳴きつづけます。そして、♂が♀にさそわれると、体にふれてみたり、目をのぞきこんだりして、相手を確かめます。
♀の申し出を♂が受け入れると、やがて交尾が始まります。よつんばいになった♀の腰に、♂が後ろから馬乗りをするようにして、交尾が行われます。そう、力の順位をしめすマウンティングとおなじ姿勢です。
・♂と♀は、その日一日はいっしょにいて、何度か交尾をおこないます。

今回は発情した♀の鳴き声を聞きそびれたのが残念です。

つづく→岩山を遊動するニホンザル




2016/03/06

網にかかったホソヘリカメムシを捕食するジョロウグモ♀(蜘蛛)



2015年11月上旬

堤防の水門に張られた網にジョロウグモ♀(Nephila clavata)に生き餌を給餌してみました。
歩脚に欠損のない五体満足の個体ですけど、体格はやや小型の印象。(未採寸)

水門の裏面を徘徊していたホソヘリカメムシRiptortus pedestris)を生け捕りにし、ジョロウグモの網に投げつけました。
すぐに駆けつけたジョロウグモ♀はかなり長時間、獲物を噛んでいました。
その間は見ていても退屈なので、6倍速の早回し映像に加工しました。

クモに噛まれても毒液があまり効かないのか、ホソヘリカメムシは後脚を動かしてしばらく暴れています。
ホソヘリカメムシは太くて棘のある腿節を闘争用の武器としています。
しかし胸部を噛まれているため、反撃したくても武器が敵に届かず虚しく空を切るばかりです。

・(ホソヘリカメムシの)雄の成虫の後脚腿節が不釣り合いに太く、その内側に棘の列がある[2]。
・雄は雌の居場所を縄張りとし、縄張りをめぐって争う。争いでは棘がついた後ろ足で相手をはさみつけるという方法がとられ、後脚腿節が長いものが有利になる[12]。(wikipediaより)

クモに攻撃されている間、異臭を全く感じなかったので、カメムシは身を守る毒ガスを発しなかったようです。
不思議に思い調べてみると、ホソヘリカメムシは

カメムシには珍しく、匂いがない[4]。(wikipediaより)

一方、ジョロウグモは噛み付きながらときどき歩脚の先で獲物に触れて生死を確認しているようです。(歩脚の先で獲物の周囲の糸を切っているのかも?)

次にジョロウグモは獲物を梱包ラッピングし始めたものの、なぜか手間取っています。
水色のペンキで塗られた水門が背景だとジョロウグモの網も糸も極めて見え難いのですが、梱包ラッピングする捕帯の糸が殆ど出ていない点が気になりました。
レンズを至近距離まで近づけても捕帯の糸は見えません。
晩秋の餌不足でジョロウグモ♀が飢餓状態となり、出糸腺(ブドウ状腺)の糸が枯渇しているのかな?と想像しました。
あるいは産後の肥立ちが悪いのかもしれません(産卵した直後なのか?)。
ジョロウグモ♀は最小限の糸を節約して使い、時間をかけてなんとかラッピングしました。
獲物を噛んで体外消化しながら直ちに消化吸収して、泥縄式に糸を合成したのかもしれません。
ようやく毒が回り、獲物は動かなくなりました。
クモは噛みつきを止めてラッピングに専念しています。

『スパイダーウォーズ』p145-146によると、

オニグモはコガネグモと同じように攻撃ラッピングを多用するクモですので糸腺の数が多く、ジョロウグモはそれをしないので糸腺(ブドウ状腺)も少ない、とも解釈できます。噛みつきによって殺した餌の接着や梱包には、たくさんの糸は必要ないのです。


ジョロウグモ♀は円網の甑に獲物を持ち帰ると身繕い。
糸で汚れた歩脚の先を順に舐めて掃除しています。
化粧が済むと、網に吊り下げていた獲物を引き寄せ、ようやく口を付けました。




【追記】
吉田真『クモはどのようにして餌を捕らえるか?』によると、
ジョロウグモ属のクモでは、捕帯による固定はみられず、固定はもっぱら噛みつきによってなされます。しかし、このクモの網には、セミ・バッタ・トンボなどの大型の昆虫や、ハチなどの危険な昆虫、カメムシなどの不快な匂いを出す昆虫の食いかすが残されています。このことは、捕帯による固定ができなくとも、大型あるいは危険な餌を捕獲できることを示しています。(中略)大型の餌または危険な餌がかかると、このクモはなかなか噛みつこうとせず、固定には長い時間がかかります。その間に網から逃れる昆虫もいるのでしょうが、多くの糸を使った網が餌の逃亡を防ぐ効果的な罠となっているのかもしれません。 (ポピュラー・サイエンス『動物たちの気になる行動(1)食う・住む・生きる篇』p46-47より引用)


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