2016/03/05

ニホンザル♂を毛繕いする発情♀(求愛・誘惑・前戯)



2015年11月中旬

下山中に山の方から変な鳴き声(短い叫び声の繰り返し)が聞こえたので立ち止まって見回すと、川を隔てた遠くの岩山の斜面に猿を見つけました。
ニホンザルの警戒声または♀による求愛コールだったのでしょう。
(映像はここから。撮影中のニホンザルは鳴き声を発しませんでした。)

岩山に野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)が二頭座っています。
体格差のある2頭は成獣の♀♂ペアであることが後に判明します。(♂>♀)
繁殖期で発情した成獣は♀♂共に顔が紅潮しています。
群れの仲間はどこにいるのか見当たりません。
このペアは群れの本隊からこっそり離れ、人目(猿目)を忍んで逢引(密会)しているようです。



初めは並んで座りこちら(里)を見下ろしています。
小柄な♀はキョロキョロして落ち着かない様子。
川を挟んで対岸から望遠レンズで撮影している私の存在は猿から丸見えなので、警戒しているようです。
♂の背後に回った♀が、♂の毛繕いをしようと背中に手を伸ばしたら、♂が怒りました。(逆鱗に触れた?)
怯えた♀は歯を剥き出した泣きっ面で地面に伏せました。



その♀に対して♂は軽くマウント(交尾ではなく優位行動)した後、左手に歩き去りました。
大きく発達した睾丸が股間に目立ちます。
叱られたのに、♀は♂の後をついて歩きます。
♀の方が♂に惚れ込んでいる印象を受けました。
今度はこちらに背を向け、並んで座りました。
♀はときどき振り返り、カメラを気にしています。
再び♀が♂の背中の毛繕いを始めました。
このスキンシップは♀からの熱烈な求愛行動も兼ねているのでしょう。
丹念に毛皮をかき分けて甲斐甲斐しく蚤を摘み取っては食べています。(左利きなのかもしれません。)
♂も毛繕いをされながら体をよじってこちらを見下ろしています。(じろりんちょ)
映像に写っていませんが、実は下に群れの仲間が居るのです。
♀は中腰になり、♂の肩の辺りを毛繕い。
遂に♀は立ち上がり、♂の後頭部を毛繕い。
とにかく♀は尽くすタイプなのか、この♂に首ったけなのか、一方的な毛繕いを長々と続けていました。
お返しに♂が♀を毛繕いすることは一度も見られませんでした。
この直後に交尾を始めたので、求愛や誘惑、前戯としての毛繕いだったようです。
♂にその気になってもらおうと♀が必死に機嫌を取っていたのでしょう。

(今回観察したカップルがたまたまそうだっただけで、ニホンザルの恋愛事情は様々あって面白いのだそうです。)

映像だけ見ると動物園のサル山のように思うかもしれませんが、あくまでも野生の生態動画です。

※ 動画編集時に自動色調補正を施してあります。

つづく→交尾



2016/03/04

ユカタヤマシログモ(蜘蛛)の吐いた粘着糸で逃れられないオオヒメグモ



2015年11月上旬

ユカタヤマシログモの飼育記録#6


ユカタヤマシログモScytodes thoracica)に強力な粘着糸を繰り返し吐きつけられたオオヒメグモParasteatoda tepidariorum)は幾らもがいても暴れても逃れられません。
一方、ユカタヤマシログモは獲物の目の前で悠然と歩脚の先を舐めて掃除しています。
(容器に蓋をしたサランラップの反射が邪魔ですね…。)
やがてユカタヤマシログモが前進して獲物に右の第一脚でそっと触れ、位置を確認しています。(@1:00)
そのままお互いにしばらく静止。
獲物に噛み付いて食事を始めるかと思いきや、なぜかユカタヤマシログモは獲物から立ち去りました。(@2:15)
絶体絶命のオオヒメグモは擬死(死んだふり)していたようで、ユカタヤマシログモが離れた途端に必死で暴れだしました。

オオヒメグモも自分が紡いだ糸なら舐めて掃除できる(糸を溶かして食べる)はずなのに、いくら必死に身繕いしてもユカタヤマシログモの粘着糸から逃れられません。
ユカタヤマシログモの粘着糸は成分が特殊なのかな?
この点に興味を持ち、「Scytodes thoracica fibrin」をキーワードに検索してみると、面白そうな文献を見つけました。(後で読む)

Zobel-Thropp, Pamela A., et al. "Spit and venom from Scytodes spiders: a diverse and distinct cocktail." Journal of proteome research 13.2 (2013): 817-835.(PDFファイル
時間をかければ脱出できるのでしょうか?

戻って来たユカタヤマシログモが容器の壁にへばりついた獲物(オオヒメグモ)に歩脚の先で触れて調べたのに、しばらくすると再び離れてしまいました。
擬死(死んだふり)していた獲物が暴れだすと向き直って触れ、チェックしています。
危険はないと判断したのか離れてしまった。
その後はオオヒメグモが必死に暴れても粘着糸を振りほどけないでいます。
ユカタヤマシログモが毒腺から作り口から吐く粘着糸には毒液も含まれているので、獲物は暴れて疲れる前に毒が回ってしまうはずです。

せっかく獲物を粘着糸で無力化したのに、今回はなぜか待てど暮らせど噛み付きに来ないのが不思議です。
糸腺が枯渇したので、とどめを刺したくても吐糸できないのかな?
獲物が疲れて(毒が回って)死ぬのを待っているのかもしれません。

今回は生き餌を投入する前に二酸化炭素で軽く麻酔しました。もしかするとその影響で、獲物としての魅力が無くなったのでしょうか?(匂いが気に入らない?)
給餌したのは7日ぶりなのに、ユカタヤマシログモは空腹ではなかったのでしょうか?
捕食する意図はなくて正当防衛のつもりだったのかもしれません。
(狭い容器に無理に同居させて逃げ場もないので自衛のため止むなく吐糸で制圧した?)
冬が近づくとクモは、越冬準備のために絶食することが知られています。
もし胃の中に消化物が残っていると気温が下がった野外では氷結する核になってしまい危険なのです。
ただし、主に屋内で生息するユカタヤマシログモも越冬前に絶食する必要があるのか疑問です。
室内は厳冬期でも野外よりは暖かいはずです。


※ 動画編集時に自動色調補正を施してあります。

つづく→#7


2016/03/01

キアシナガバチの巣:昼と夜の動静【暗視映像】


2015年8月中旬

キアシナガバチ巣の定点観察@軒下#4


自然の営みに介入すべきかどうか悩むのですが、キアシナガバチPolistes rothneyi)の巣の横に張られていたクモの網を撤去しました。
完全には取り切れず、まだ少し残ったクモの巣の残骸が風になびいて目障りですね。
在巣の蜂は育房を点検して回ったり、身繕いしたりしています。(午後15:17)

同じ日の深夜(23:12)に再訪し、赤外線の暗視カメラで撮影しました。
多数のワーカーが巣盤に並んで寝静まっていました。

つづく→#5:


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