2015/10/19

路上のアカウシアブ♀



2015年8月中旬

峠道でアカウシアブ♀(Tabanus chrysurus)が路上を徘徊していました。
路面を舐めてミネラル摂取しているのかと思い撮り始めてみると実はそんなこともなく、ウロウロと歩き回っているるだけでした。
少し飛んで日陰に移動したので、熱射病で弱っている個体なのかな?
最後は飛び立ち見失いまた。



2015/10/18

夜に開花するメマツヨイグサ



2015年8月中旬

近所に生えたメマツヨイグサの群落から夕方(17:30PM)に蕾を採集してきました。
茎を水切りして、水差しに生けました。
メマツヨイグサが夜に開花する瞬間を記録するために、動画の長撮りで監視します。
予習してみると開花は一旦始まればあっという間に進行するらしいので、微速度撮影ではなく通常のHD動画で録画しました。

室内の照明以外に撮影用の補助照明としてUSBリングライトを点灯しましたが、悪影響を及ぼすこと(撹乱)を恐れ、途中から消灯しました。
どうしても画面はかなり暗くなってしまいますが、動画編集時に自動色調補正を施してあります。

そのまま放置して別の作業をしていたら夜21:30頃、室内に漂う花の芳香に気づきました。
振り返るといつの間にか開花していました。
このときの室温は26.4℃、湿度は73%。
咲くと予想していた蕾とは逆の方が咲きました。
植物に疎い私が初めもう一つの蕾だと思い込んでいたのは、花が萎んだ後だったと判明。

撮れた動画を巻き戻して見てみると、蕾がほころび始めてから一気に弾けるように咲きました。
開花時刻は午後18:52。
咲いた花に偶然にも照明が当たって良い感じに撮れていました。
ちなみにこの日の正式な日の入り時刻は18:31と発表されていました。
光が開花に及ぼす影響は1回の観察だけではよく分かりませんでした。(※追記3参照)
光ではなく気温の低下を感知して咲くのだと仮定すると、熱帯夜は開花しないことになってしまいます。
切り花にしても植物の体内時計が働いて夜に正しく開花するのでしょうか。
次回は暗い野外で赤外線の暗視動画に記録してみようと思います。



この花も翌朝には閉じていました。
夜間に昆虫が訪花せず受粉に失敗しても萎むのは何故でしょう?
咲き続けるのはコストがかかると考えれば、受粉しなかった花は潔く諦めて捨て(枯らし)、翌日の晩に次の花を咲かせて受粉のチャンスを待つ方が得策なのでしょうか?
次はメマツヨイグサの花が萎む過程を微速度撮影してみるのも面白いかもしれません。

採集現場に花の種類を同定しに行くこと。



【追記】
当初、オオマツヨイグサとして記事を書きましたが、メマツヨイグサに訂正します。


【追記2】
Newton special issue『植物の世界―ナチュラルヒストリーへの招待〈第2号〉』p12によると、
暦の上の日没時刻を20分ほどすぎたころが(オオマツヨイグサの)開花の最盛期である。(中略)マツヨイグサでは、いましがた沈んだ太陽の方を向いて開く花が多い。夜行性のガといっても、やはり光をたよりに花を訪れるからであろう。



※【追記3】
浅井康宏『緑の侵入者たち―帰化植物のはなし (朝日選書)』p206によると、
「マツヨイグサの仲間はどうして夜咲くのか…」この疑問に答えたのは、オオマツヨイグサを材料として研究した、日本の植物生理学者たちであった。これによると、萼の基部にある1センチぐらいの部分に開花の決め手があり、この部分に当たる特定の波長の光線が、開花に影響を与える。太陽の光線は、開花を抑えるように働くのである。


【追記4】
田中修『つぼみたちの生涯―花とキノコの不思議なしくみ (中公新書)』によると、
ツキミソウというのは、マツヨイグサ属の特定の一種に対する呼び名である。しかし、一般的には、夕暮れに開花するオオマツヨイグサ、マツヨイグサなどのマツヨイグサ属のすべてを含めることが多い。最近、都市郊外に多いのは、アレチマツヨイグサである。オオマツヨイグサはあまり見かけなくなっているが、実験でていねいに調べられているのは、オオマツヨイグサである。
この植物は、夏の夕暮れ、日が沈むと、暗くなるのを待ちわびていたかのようにつぼみを開く。しかし、開花当日、暗くなってから開く準備を始めるのではない。その前日の夕暮れから時を刻み始め、2段階に分けて仕度をしている。
(中略)
 第二過程が終わると、つぼみはいつでも開ける状態にある。ところが、夏の晴れた日の夕方6時ころには、この植物のつぼみにとっても、まだまだまぶしい強い光がさしている。そのため、開花できない。準備が終わっても、最後の過程が強い光で阻害されるのだ。
 開花準備の終わったつぼみは、夕方からじっと暗くなるのを待つ。夏の夕暮れ、日が沈むと、暗くなるのを待ちわびていたかのように、花が開くのは、このためである。曇っていたり、雨雲が覆っていたりする日には、夕方6時ころ、開花準備終了と同時に、つぼみが開く。
ツキミソウは、このように「暗くなること」を刺激として、つぼみの開く時刻を決めている。(p132-133より引用)





ミズキの実を採食するニホンザルの群れ



2015年8月中旬

山間部の峠道を登っていると、麓に近い地点でミズキの枝葉と実が路上に散乱していました。
野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の食痕だろうと推理しました。
更に進むと案の定、ミズキの実を採食しているニホンザルの群れと遭遇。

初めは私のことを警戒していましたが、動きを止めて(フリーズ)静かに撮影していると次第に警戒を解いて採食を再開してくれました。
耳を澄ますと、固い果実(核果)を噛んでいるニホンザルの歯が当たる音がコリコリ♪響いています。
種子を吐き出している気配がなく、おそらく殆どそのまま飲み込んでいるようです。
路上によく落ちている猿の糞を調べれば、種子散布の状況が分かるかもしれません。


森に散開した群れが各々でミズキの実を採食しています。
道の両側の斜面ではあちこちの樹上で猿が採食しているので、どの個体を撮ろうか目移りするほどでした。

しなる枝先まで降りてアクロバチックに掴まりながら、近くの枝を手で引き寄せ黒紫色の実を食べています。
枝を折り取って口に咥え、登り返して安定した枝に腰掛けてから実を採食することもありました。
ところが少し食べただけで折り取った枝葉を無造作に捨ててしまいました。


珍しく口から指で種を出したり吐き出したりする様子も観察出来ました。
唇が紫色の果汁で汚れています。


※ 一部の逆光シーンのみYouTubeの映像編集時に自動色調補正を施してあります。


岩合光昭氏の写真集『スノーモンキー』p113にミズキの実を採食する子ザルの見事な生態写真が掲載されていました。




さて、この黒い木の実は夏によく見かけるものの、名前を知りませんでした。
帰ってから図鑑で調べてみると、葉が互生であることからクマノミズキではなくミズキと判明。
『野鳥と木の実ハンドブック』p50-51によると、ミズキは

鳥が好んでよく食べる木の実のベスト5に入る。
口に入れてみても、これといった味はしない。


『樹木見分けのポイント図鑑』p36によれば、ミズキの

果実は球形で種子の核の先に穴がある。
余談ですが、妖怪漫画で有名な水木しげる氏のペンネームは改めて考えると素敵ですね(ミズキが茂る)



【追記】
ミズキは多くの個体がたくさん果実をつける豊作年と、少ない個体が少しだけ果実をつける凶作年を繰り返す。(直江将司『わたしの森林研究―鳥のタネまき​に注目して』p69より引用)



▼関連記事(4年後に別の里山で撮影)
ミズキの果実を食べるニホンザルの群れ




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