2015/08/08

自ら排泄した糞も繭に織り込むノシメマダラメイガ(蛾)幼虫



ノシメマダラメイガの飼育記録#16

2015年6月下旬

▼前回の記事 
ゴミを綴って繭を紡ぐノシメマダラメイガ(蛾)終齢幼虫【微速度撮影】
営繭を始めたノシメマダラメイガPlodia interpunctella)終齢幼虫の映像を見直すと、周囲からゴミを集めたり繭を紡いだりしながら糞を排泄していました。


私の記憶では、一般に鱗翅目の幼虫は繭を紡ぎ始める前や前蛹が脱皮(蛹化)する前に(繭の完成後に)脱糞するはずで、不用意に繭内を糞で汚さないようにしています。
この点でノシメマダラメイガ幼虫は例外(珍しい部類?)に属するようです。

シーン1(微速度撮影の10倍速映像):

幼虫は繭の外(右側)に身を乗り出してゴミを集めています。
腹端を左右に振りながら繭の中で脱糞しました。
糞の粒はそのまま絹糸に絡み取られ、他のゴミと一緒に繭を強化する材料に使われました。

シーン2(通常のリアルタイム映像):

だいぶ完成した繭の中で休息している幼虫が腹端だけ動かしています。
排便して繭内になすり付けているようです。

※ 透明プラスチック容器越しに撮ったやや不鮮明な映像に自動色調補正を施してあります。

つづく→#17:ゆっくり糸を紡いで繭を作るノシメマダラメイガ(蛾)終齢幼虫


2015/08/07

ゴミを綴り繭を紡ぐノシメマダラメイガ(蛾)終齢幼虫【微速度撮影】



ノシメマダラメイガの飼育記録#15

2015年6月下旬

ノシメマダラメイガPlodia interpunctella)終齢幼虫が穀類(ゴマと押麦)の中深くに潜り込んで蠢いています。
円筒形プラスチックの飼育容器(綿棒容器を再利用)の底の縁で今にも繭を作りそうなので、営繭の様子を微速度撮影してみました。
2日間の行動を記録した100倍速の早回し映像をご覧下さい。(実時間では休み休み撮って延べ約23時間!)
これまで色々やってきた微速度撮影ネタでも一番と言って良いぐらい興味深い行動を記録することが出来ました。(大興奮!)
かなりの長編映像ですけど、自信作なので是非ともご覧下さい。
透明プラスチック容器越しに撮ったやや不鮮明な映像に自動色調補正を施してあります。

『繭ハンドブック』p83で予習すると、ノシメマダラメイガの繭は

白色で、極めて薄い。餌や自らの糞を糸で綴って繭を作る。
繭のまわりには餌である米粒や糞がついている。

与えたチョコの食べ過ぎなのか、幼虫は一時期ピンク色でした。
一方、営繭を始めたこの老熟幼虫は濃い黄色でした。
発達した絹糸腺や脂肪体が透けて見えてる色なのかな?

餌の穀類に混じる茶褐色の粒は幼虫の糞やチョコレートの食べ滓と思われます。
幼虫は穀粒を下から持ち上げる力があります。

穀粒同士を絹糸で綴ってから繭室の近くにグイグイと引き寄せようとしています。
糞や細かなゴミの粒子を集めて引き寄せると、繭に編みこんでいます。
繭を補強するためなのか、それとも偽装工作(カモフラージュ)なのでしょうか?
実は周囲から集めたゴミを糸で綴って巣(隠れ家)を作るという同様の行動は若い幼虫のときもやっていました。
作りかけの繭の外に身を大きく乗り出して遠くからもゴミを集めてきています。

自分の絹糸だけでは繭を作れないのでしょうか?
一番驚いたことは、ノシメマダラメイガ成虫の死骸を繭内に引き込んで解体し、巣材に使い始めたことです。(@7:10〜)
死んだ成虫の脚や翅などをバラバラに引きちぎって繭に編みこんでいます。
擬人化して考えるとゴミ屋敷どころか凄惨な猟奇事件の話になりますが、親の死骸も無駄にしないで再利用するとはとても興味深い習性ですね。
必要な巣材(ゴミ)が近くに無ければ自分で作ってしまおうというDIY精神は天晴です。
成虫が寿命で死ぬ度に飼育容器から取り除いてきたのですけど、今後は死骸を残しておいた方が良さそうです。
巣材として使う以外にも、死んだ成虫を幼虫が食べてタンパク源としている可能性もありますね。


透明プラスチック容器の側面に接する部分は巣材を節約しているのは何故でしょうか?
観察しやすいのは助かります。
照明に一日中照らされて眩しいはずなのに、幼虫は気にしないようです。(ゴミを並べて遮光しない)
何か固い物体に幼虫の体が触れていれば安心なのかな?
やはり繭の強度を高めるためにゴミを混ぜて織り込んでいるのだと思います。
固い繭を作らないと穀物倉庫で押し潰されてしまう危険があるのかもしれません。

私がこれまで色々な種類の幼虫を飼育して繭作りを観察してきた中で、これほど時間のかかる(遅い)営繭行動を見たことがありません。
ゴミ集めに手間取ってるだけで、営繭を始めたら早いのかな?

薄い繭の形状が少しずつ明らかになってきました。
幼虫は後退運動も可能で、細長い繭の中で方向転換することも出来ます。
繭の右側の出口はいつの間に塞いだのか、左にしか遠出しなくなりました。

繭の入り口から別個体の幼虫が侵入して来ることがありました。
繭の主が追い払うと、慌てて後退り退散しました。

やがて、重要な巣材となっていた成虫の死骸を別個体の幼虫に横取りされてしまいました。
手が届かない所に持ち去られてしまったようです。
繭を紡ぐ幼虫間で巣材資源を巡る激しい争奪戦があるようです。
営繭中の幼虫は一度繭の外に出て成虫の死骸が手元に無くなったことを確認すると、それ以降は繭に引き篭もり、外でゴミ集めをしなくなりました。
飼育下で適当な巣材(ゴミ)を与えたら、蓑虫の着せ替え実験のようなモザイク状の芸術作品をノシメマダラメイガの繭として創らせることが可能かもしれません。

休憩の合間に繭入り口の押し麦を齧っているように見えます。
絹糸を合成するための栄養補給なのか、それとも澱粉のゴミを自ら作っているのでしょうか?

つづく→#16:自ら排泄した糞も繭に織り込むノシメマダラメイガ(蛾)幼虫



獲物を咥えたオオヨシキリ(野鳥)



2015年7月上旬

用水路沿いを歩いていると、オオヨシキリAcrocephalus arundinaceus orientalis)が私の背後から川を飛び越え、対岸の木の枝に止まりました。
カメラを向けると嘴に獲物を咥えていました。
虫のような、カエルのような…?
残念ながらこの距離では分かりません。
オオヨシキリは獲物を枝に叩きつけてから飛び降りると、川沿いの柳の灌木に止まり直しました。
近くのアシ原に巣がありそうですけど、見失いました。
捕まえた獲物は自分で食べるのではなく、雛に給餌するためだったようです。



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