2015/07/25

マイマイガ(蛾)幼虫の頭部抜け殻を巣に持ち帰るムネアカオオアリ♀



2015年6月中旬
▼前回の記事
マイマイガ(蛾)幼虫の毛の防護効果:ムネアカオオアリ♀を撃退
外役から帰巣するムネアカオオアリCamponotus obscuripes)のワーカー♀が持ち帰る獲物をよく見ると、マイマイガLymantria dispar japonica)幼虫が脱皮した頭部の抜け殻でした。
やや大型のワーカーですけど、その頭部よりやや大きな獲物でした。
拾ってきた脱皮殻に果たしてそれほどの栄養価があるのでしょうか?
もしかすると抜け殻ではなく、死骸の頭部(生首)なのかもしれませんが、アリから取り上げてよく調べないと分かりません。
しかし生きたマイマイガ幼虫(=ブランコケムシ)は毛虫の長い毛を利用してムネアカオオアリを撃退できることを目の当たりにしたばかりなので、天敵としてアリがマイマイガ幼虫を狩って頭部を解体するのは無理そうです。

同じ巣のワーカーとすれ違う際は出会い頭に触角で挨拶しています。
この辺りでマイマイガ幼虫がやたらと大量発生しており、アリの進路を別個体のマイマイガ幼虫が横切り、板壁を登って行きました。(アリの獲物と頭部を比べて下さい)

巣口に辿り着く手前の地点で、アリは立ち止まってしまいました。
疲れて休息が必要なのでしょうか。
あまりにも休憩が長いので、編集でカットしました。

後続のワーカーの触角が触れてようやく目が醒めたようです。
それでも未だ運搬を再開しません。
獲物を下に置けば疲れた大顎も休めるはずですけど、板壁にしがみついているため、大顎を離せば獲物を落としてしまうでしょう。
よく見ると実は、コンクリート土台の小さなでっぱりに獲物を乗せて支えてるようです。

痺れを切らした私がレンズを近づけたらようやく運搬を再開してくれました。
ところが巣口のすぐ手前でまた一休み。
迎えに来た訳ではないでしょうが出巣してきた別個体の2匹と擦れ違いざまに獲物を奪われそうになり、慌てて運搬を再開しました。
ようやく無事に獲物を巣に持ち帰りました。
巣口で門衛2匹が出迎えました。



2015/07/24

ゲンジボタル♂を見つけた!【暗視映像】



2015年6月中旬・夜20:00頃

山麓の道端の木の葉(おそらくタニウツギ)で光っている蛍を見つけました。
赤外線の暗視動画に撮りながらこっそり近づくと、葉から葉へ歩き回っていました。
ゲンジボタル♂(Luciola cruciata)と後に判明します。
葉先に近いところで静止すると、触角を激しく振り立てています。
頭をこちらに向けているため、お尻の発光が見えません。

特殊な(高価な)高感度カメラでないと蛍の発光は動画に撮れない(ピントが合わない)ものと思い込んでいましたが、駄目元で通常の動画モードに切り替えてみました。
暗闇では蛍の位置が分からなくなったので、昆虫の目には見えにくい赤色LEDのマグライトを一瞬だけ点灯して探しました。
マグライトを消すと暗闇でゲンジボタル♂の微光を初めて記録することができました。
ビデオカメラの白色LEDを点灯すると、光を嫌って(背光性)歩き出したので慌てて消灯。

ゲンジボタルを扱った本『カラー自然シリーズ46:ホタルのくらし』p6によると、

葉の上にとまってまま、弱い光を1分間に15〜20回明滅させる光り方を「微光」といいます。これは、いちばん長く続く光り方です。


いかにもしょぼい映像ですけど、私にとっては初めての記念すべき記録です♪
撮影のもどかしさを裏返せば、闇夜で蛍の光を楽しめるヒトの肉眼の性能がいかに優秀か、改めて驚きます。
もう少し撮影を練習すれば、なんとかなりそうです。

つづく→ビニール袋内で刺激発光するゲンジボタル♂【暗視映像】



【追記】
『日本の昆虫12:ゲンジボタル』p123によると、
夜間の観察では、電燈をつけるとホタルが光を避けて本来の習性を発揮しないので、赤いセロファンのフィルターを付けるとよい。赤外線はホタルにとって感知しにくい光であるので、ホタルに与える影響を最小限に抑えることができる。

交差点で車にクルミを割らせようとするハシボソガラス(野鳥)



2015年6月中旬

カラスのクルミ割り行動はこれまで何度も観察していますが、今回はかなり興味深いです。
この辺りのカラスにはクルミを車に踏ませて割る知恵(文化)は未だ無いようで、上空から舗装路に投げ落として割る自力本願の行動ばかりでした。
しかし遂に、車道にクルミを置いて確実に車に踏み潰させる行動が発達しつつあるかもしれません。

郊外の路上でハシボソガラスCorvus corone)がクルミの実を足で踏みつけ、嘴に咥えました。
そのまま飛び立つと交差点の歩行者用信号の上に止まりました。
向き直ってからクルミをポトリと路上(交差点)に落としました。
ちょうど赤信号で停車中です。
直後にカラスも飛び降りたのですが、車の陰で見えなくなりました。
もし停車中の車のタイヤの直前にクルミを置いたら発進時に確実に割らせることができて、凄い進歩です。
カラスの姿を見失ってしまったのは残念無念。
やがて信号が青になり、軽自動車が発進しました。

辺りを探すと、歩道の奥の空き地に例のカラスを見つけました。
おそらく交差点に落としたクルミが転がってしまったのでしょう。
縁石の死角でよく見えないのですけど、クルミの実を啄んでいるようです。
やがてクルミの実を咥えて飛び立ち、交差点に戻ると電柱の2番目に高い電線に止まりました。
下の交差点を見下ろしながらクルミを離し、ポトリと落としました。
車を当てにしない従来の割り方では、一番高い電線の高さ(またはそれ以上)から投げ落としていました。
今回はそれよりも低く、高さ(衝撃の強さ)よりも落とす狙いの確実性を選んだようです。


なかなか車が来ないので、カラスは電線に止まったまま待機しています。
電線でカーかー♪鳴き始めたのでズームイン。
(お辞儀しながら鳴くのはハシボソガラスの特徴です。)
遠くて鳴き声は聞き取れないものの、電線上で向きを変えながらひたすら鳴き続けています。
期待通りに車が来ないというフラストレーションの現れでしょうか?
近くにいる別個体と鳴き交わしているのかもしれません。
最後はようやく電線から飛び立つも、なぜか路上のクルミを取りに行かず近くの木の枝に止まりました。
クルミ割りを諦めたのか、それとも落としたクルミのことを忘れてしまったのかな?
すぐ近くにオニグルミの大木があり、カラスはこの樹の下から実を採取してくるのでしょう。
どうも交差点で車にクルミを割らせる技が未だ不完全なようです。
これから試行錯誤で学習してくれるかな?
撮影アングルを研究してこの交差点で張り込みをしたら、成功例の映像をものにできるかもしれません。

▼【関連動画】


イギリス国営放送(BBC)制作による鳥類学のドキュメンタリー番組の中で、仙台のカラスが車にクルミを割らせる賢い行動をいち早く紹介して世界を驚愕させた公式映像です。
交差点の信号や横断歩道の概念を理解している知能が凄いです。
アッテンボロー卿の格調高いナレーションでお届けします。
あまりにも有名な動画ですけど、未見の方は是非ご覧ください!


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