2015/07/11

マイマイガ(蛾)幼虫の二次寄生蜂(Acrolyta sp.)



2015年6月上旬・室温23℃


▼前回の記事
マイマイガ幼虫を寄主とする寄生蜂の羽化【微速度撮影】

羽化が一段落してから飼育容器全体を撮ると、繭塊から羽化した寄生蜂は計11匹でした。
容器内を徘徊したり、飛び回ったり、化粧したりしています。
寄主マイマイガLymantria dispar japonica)幼虫は息絶えてしまったのか、もう動きません。
寄生蜂の羽化率や性別、割合(性比)などを細かく調べていませんが、腹端に産卵管がある個体が♀でしょう。
羽化直後に交尾している♀♂ペアや、寄主へ産卵している♀などは見られませんでした。
触角を掃除したり後脚を擦り合わせたりして身繕いしています。

※ サランラップの蓋越しにマクロレンズで蜂を接写した部分の映像は、動画編集時に自動色調補正を施してあります。

以下は寄生蜂の標本写真。
2009年に同様の飼育で得られたのと同じく二次寄生蜂のヒメバチ科トガリヒメバチ亜科、Acrolyta属の一種ではないかと思います。
マイマイガ幼虫の一次寄生蜂(多寄生のコマユバチ科)を未だ見たことがないので、ちょっと残念でした。
マイマイガ幼虫が死ぬまでボディガードのように繭塊を守っているように見えても、二次寄生蜂♀によるアタックを全く防御できていないことが今回も分かりました。

▼つづく

ラップを噛み破ろうとする寄生蜂(寄主マイマイガ幼虫から新たに出現)

サラサウツギの花蜜を吸うウラギンスジヒョウモン♂



2015年6月中旬

道端に咲いたサラサウツギ(=ヤエウツギ)の灌木でウラギンスジヒョウモン♂(Argyronome laodice japonica)が訪花していました。
初めは翅を閉じたままで翅表を見せてくれないため、性別不明でした。
ようやく翅を開閉してくれた際に、翅表の先に白い紋様が無く、♂と判明しました。



2015/07/10

コンフリーで採餌戦略(正当訪花/穿孔盗蜜)を切り替えるオオマルハナバチ♀



2015年6月中旬

道端に咲いたヒレハリソウ(=コンフリー)の群落でオオマルハナバチ♀(Bombus hypocrita)がせっせと訪花していました。

小型なのでおそらくシーズン初期のワーカー♀と思われる同一個体を追跡して撮影すると、初めは穿孔盗蜜ばかりしていました。
雄しべに触れない筈なのに後脚の花粉籠に白い花粉団子を付けているのが不思議に思っていたら、途中から(@0:20〜)正当訪花にスイッチしました!

コンフリーの花を舞台としたこのような採餌戦略の切り替えをクロマルハナバチ♀およびセイヨウミツバチ♀でも観察しているので、どうやらハナバチでは一般的な行動のようです。(珍しい行動ではない)

訪れた花筒の深さの微妙な違いに応じて臨機応変に切り替えるのですかね?(正当訪花で舌が蜜腺に届かないと予測すれば盗蜜する?)
しかしこの個体はオオマルハナバチにしては小型なので、素人考えでは正当訪花でも花筒の奥まで潜り込み易いと思うのですけど、盗蜜する理由がよく分かりません。
既に穿孔盗蜜痕があれば、それを積極的に利用するのでしょうか?(二次盗蜜)
気紛れな日和見主義は柔軟な採餌戦略だと評価すべきなのでしょうか?



【追記】
『クモを利用する策士、クモヒメバチ』p123によれば
行動学では戦略と戦術は、明確な使い分けがされている。どのような状況でどのようなふるまいを選択するかを戦略と呼び、個々の状況でのふるまいを戦術と呼ぶ(東京化学同人『行動生物学辞典』より)。

正当訪花(手前に見える花筒2つに穿孔盗蜜痕)
正当訪花
盗蜜
穿孔盗蜜痕

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