2015/06/29

マイマイガ(蛾)の幼虫を狩るセグロアシナガバチ♀



2015年6月上旬

湿地帯に生えた柳の群落でアシナガバチがふらふらと探索飛翔していました。
目で追うと何か獲物を狩ったようです。
柳の葉に止まって獲物を解体し、肉団子を作り始めました。

キアシナガバチと迷うのですが、大型のセグロアシナガバチPolistes jokahamae)と判明。
時期的にワーカーではなく、単独営巣期の創設女王だと思います。

柳の茂みが邪魔で蜂を驚かせないように近づくのが難しく、蜂にピントを合わせるのに苦労しました。
(ピンぼけ部分を編集で大幅にカットしました。)
獲物は毛虫のようです。
途中から蜂が葉の影に隠れてしまいました。
向きを変えた瞬間に前伸腹節が黒い(セグロアシナガバチの特徴)ことをスロー再生で確認できました。
肉団子を作り終えると獲物の内臓と頭部を残して飛び去りました。
(カメラを警戒して逃げたのかもしれません。)
柳の葉を調べると、餌食となった毛虫の体液でベットリ濡れています。
固い頭楯だけが生首のように残されていました。
この頭楯の特徴的な斑紋から、獲物の正体がマイマイガLymantria dispar japonica)幼虫(=ブランコケムシ)と判明しました。

今回の観察で分かったことがあります。
まず、毛虫の毛にアシナガバチから身を守る防御力はありません。

アシナガバチが狩るのは毛の生えていない芋虫や青虫ばかりだと思っていたので、毛虫も狩るとは意外でした。
そして害虫マイマイガの大発生を抑止するために、アシナガバチを安易に駆除すべきではありません。生物的防除
今年もマイマイガ幼虫が山林で大発生しているので、その天敵に注目して自分なりに調べてみます。



2015/06/28

ヒオドシチョウの羽化(左右の口吻が結合する様子)



ヒオドシチョウの飼育記録#15


▼前回の記事
羽化したヒオドシチョウの初飛行

2015年6月中旬・室温23℃

最後に蛹化したヒオドシチョウNymphalis xanthomelas japonica)個体d白も無事に羽化してくれました。
実はこの個体は、終齢幼虫の時代に脱走して一時行方不明になりました。
数日間も室内を彷徨った末に再捕獲したのです。
長い飢餓状態に置かれても発生が少し遅れただけで問題なく成虫まで育ちました。

柳の枝に垂蛹を作ってから11日後の朝、翅の赤色が蛹の外から透けて見えるようになりました。
羽化が近いと判断し、早朝から録画で監視スタート。
今回の目標は、左右2本の口吻が1本に結合する様子を(マクロ)動画に撮ることです。

これまでの2例では、ヒオドシチョウの羽化開始時刻は9:42および14:39でした。
今回は午前7:33に蛹が割れて羽化が始まりました。
ただし早朝から撮影用の照明を当て続けたので、蛹の日周リズム(体内時計)が前にずれた可能性もあります。
今回も羽化の予兆となるような蠕動運動は認められませんでした。

冒頭16秒のみ、微速度撮影した10倍速映像です。
その後はリアルタイムに録画した映像です。
あっという間に翅が伸び切ったので、今度はマクロレンズで口吻を接写してみました。(5倍速映像)
鱗翅目の口器は幼虫と成虫とで機能も形態もまるで異なります。
噛む口器から吸う口器へと完全変態を遂げるのです。
成虫の口吻は羽化した時からストローのような管状になっている訳ではありません。
ゼンマイ状の口吻をくるくると伸縮させながら根本からジッパーを閉じるように左右2本の口吻を結合します。
もしも口吻の結合に失敗すれば、文字通り死活問題になります。(花蜜を摂取できずに餓死してしまうでしょう。)
口吻の結合が完了すると、口吻の伸縮が止まります。
丁度その頃、不要となった体液を蛹便として排泄したようです。
下に敷いた白紙が赤い蛹便で汚れていました。
後半は透明な液体も排泄したようです。



午前11:35頃になると翅も体も固まったようで、自力で明るい窓の方へ飛び立ちレースカーテンに止まりました。
撮影後は窓を開けて放蝶しました。




以下は羽化殻の写真。


さて、今回4頭の終齢幼虫を採集してきて飼育した結果、羽化率は100%(4/4)、寄生率は0%でした。
1匹ぐらいは寄生されているかな?と思ったので意外でした。
ヒオドシチョウ幼虫の棘状突起に寄生を妨げる防禦効果があるのかな?と想像してみました。
しかしヒオドシチョウを寄主とする寄生蜂を調べてみると例えば、ヒメヒオドシヤドリヒメバチが知られています。

シリーズ完。


巣立ち雛へ給餌するムクドリ♪(野鳥)



2015年6月上旬

▼前回の記事水溜りの水を飲むムクドリとカワラヒワの群れ♪(野鳥)

水溜りで水を飲んだり水浴したりしているムクドリSturnus cineraceus)の群れを撮っていると、意外なシーンが観察できました。
どうやら羽根の色が薄いのが巣立ち雛のようで、ときどき親鳥が飛来して給餌しています。
巣立ち雛は鳴きながら羽ばたき、餌をねだります。

映像冒頭では、右手のヨシ原の近くで地上採食している成鳥の近くに巣立ち雛が駆け寄り、餌をねだっています。
(このときは実の親子ではなかったのか、給餌を受けていません。)
そこへ別の親鳥が芋虫を咥えて舞い降りました。(画面左下@0:38)
左手から来た巣立ち雛が餌をねだり給餌しました。
親鳥はすぐに飛び去りました。

この水溜りの横は湿地帯で、ヨシ原が広がっています。
もしかすると、この周辺は巣立ち雛の共同保育園(隠れ家)なのかもしれません。
危険が迫ればいつでもヨシ原に逃げ込めますし、自力で採餌する練習もできます。
巣立ち雛の群れの中で親鳥は給餌すべき我が子を鳴き声で見分けているのですかね?
ムクドリでも自分では繁殖せずに他個体の繁殖を助けるヘルパーの存在が知られているそうです。(参考サイト
ありふれた鳥ですけど、個体識別した上でじっくり観察できたら楽しそうです。

この日は他にも虫を咥えて飛び回るムクドリ(親鳥)の姿を湿地帯の上空でよく見かけました。
巣が近くにあるのかもしれませんが、見つけられませんでした。


『ムクドリの子育て日記』p39によれば、
巣立ったばかりのヒナたちは、親鳥といっしょに、エサがあって安全な場所に行く。しばらくのあいだは、親からエサをもらう。そして、だんだんと自分でエサをとることをおぼえていき、6月末から7月には、ひとりだちする(若鳥は、親にくらべて羽の色がうすいが、秋には、成鳥と同じ色になる)。
『ムクドリ (カラー版自然と科学50)』p16-20によると、

  • ヒナは、親鳥よりあわい羽の色をしています。
  • 巣だちごしばらく、たべものは自分でとらないで、親鳥がはこんでくるのをまっている。
  • 巣立ちした若鳥たちは、食べ物をくわえた親鳥をみると、まだひよわな翼を一生懸命ふるわせて、我先にもらおうと競争する。
  • ヒナの巣立ちは孵化から3週間後(約22日後)、巣作りから約40日後。
  • 若鳥がひとりだちするのにさらに何日かかるかは、よくわかっていない。

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