2015/03/01

クサグモ(蜘蛛)の棚網から脱出するウスバアゲハ



2014年6月中旬

里山の山道の横でクサグモ(またはその仲間;コクサグモ?)が張った棚網ウスバアゲハParnassius citrinarius)が引っかかって暴れていました。
棚網の糸に粘着性は無いのですけど、ウスバアゲハが一刻も早く網の外に逃れようとしても細かい網の目に足を取られて苦戦しています。
どこまで続く泥濘ぞ…。
私の頭の中では映画『ロッキー』の名曲「Going the Distance」がBGMで流れ、このウスバアゲハを応援したくなります。
一方、せっかく獲物がかかっているのに、なぜか網の主は捕食しに出て来ません。
クサグモは漏斗状の隠れ家にも不在なのか(未確認)、あるいはもう満腹なのでしょうか?

同じ棚網にはウスバアゲハの死骸が3頭も残されていました。(死屍累々)
クサグモには食べ残しを取り除いて棚網を掃除する習性が無いのでしょうか?
クサグモがウスバアゲハの死骸を掃除しないで意図的に残してあるなら、狡猾な囮作戦ですね。(究極のdeath trap)
つまり、ウスバアゲハの死骸を♀と誤認した♂が交尾しようと飛来し次々と網にかかったのかもしれません。

騎士道精神を発揮してウスバアゲハ♂が仲間や姫を助けに来る訳ではありませんが、ミイラ取りがミイラになる連鎖反応を想像しました。
▼関連記事ウスバアゲハの交尾干渉@クマイチゴ花
監視カメラを設置してこの棚網を長時間見張れば証拠映像が撮れたかな?
恥ずかしながら私のウスバアゲハ性別判定はあやふやで自信が無いのですが、脱出中の個体は腹端に交尾嚢は付けていませんでした。(少なくとも交尾後の♀ではない。)

ようやく棚網の端の葉っぱ(ヤマグワ)に辿り着くと、ウスバアゲハは羽ばたいて網の外に出ました。(@4:00)
生還おめでとう!
さすがに疲労困憊したようで、そのまま葉上で翅を閉じてしばしの休息。
(映像はここまで。)
指で触れると少し飛んで逃げ、近くに咲いたオオダイコンソウの黄色い花で吸蜜しました。

『日本動物大百科9昆虫II』のp32によると、

アゲハチョウ類の配偶行動は、雌雄を紫外部の性的二型などによって視覚的に識別するシロチョウ科の場合とはまったく異なっている。
♂は雌雄を視覚的には識別できず、♂にも♀にも接近し前あしで翅にふれる。そして化学物質を感知するなどいくつかのほかの手がかりをつかって、♀との交尾に至る。 


クサグモの棚網から脱出を試みるウスバアゲハ
全景
死屍累々

杉の木に貯食するヤマガラ(野鳥)



2014年11月中旬

平地の杉林でヤマガラParus varius)がスギの小枝に止まり、幹をつついています。
虫を捕食しているのかと思いきや、小枝の根本に嘴でコツコツと何か固い物を押し込んだ後に樹皮を嘴で毟って穴に詰めていることに気づきました。
厳しい冬に備えておそらく何か食料を貯食した後の隠蔽行動だと思われます。
噂通り、嘴の使い方がとても器用ですね。
ヤマガラが飛び去った後に貯食物を調べてみれば良かったですね。
残念ながら梯子がないと手が届かない高さでした。

インターネット検索してみると、霞ヶ浦流域ノ某住人さんが「ヤマガラの貯食行動」と題したブログ記事を書いておられました。
スギの木に貯食していたドングリをヤマガラが取り出す見事な生態写真が掲載されています。

ピッキオ編『鳥のおもしろ私生活』p175によると、ヤマガラは

シイやエゴノキなどの実を好んで食べ、地面の中にたくわえる習性がある。隠した位置は、場所をおぼえているというよりも、近くにある何らかの目印を記憶しているらしいことが、実験からわかってきている。



『ヤマガラの芸―文化史と行動学の視点から』p18-19によると、
くちばしの先が平たくなっているのは木の隙間に木の実などを押し込むのに便利だろう。(中略)貯食をする場所は、樹皮の下などの樹上や、草や木の根本や斜面、倒木のわきなどの地上で、比率としては四対六くらいで地上が多い。貯食をするときの行動としては、木の実をまずそこへ運び、木の実がはいるほどに穴を開けたり、隙間を大きくした後、木の実を置いてくちばしでコンコンとたたき込む。埋める深さは二センチ以内が多いらしい。そして、その上にふたとなるような物を置いて、やはりコンコンとくちばしでそれをたたき込むか、つつき入れるようにする。





【おまけの動画】
「ヤマガラの芸ーその4 おみくじ芸」by kakodayonさん

貯食習性などヤマガラが本来もっている行動レパートリーを利用して一連の高度な芸を調教することが可能です。(オペラント条件付け


ウツギの花蜜を吸うクロマルハナバチ♀



2014年6月中旬

水辺の堤防に咲いたウツギ(空木)の群落でクロマルハナバチ♀(Bombus ignitus)が訪花していました。
なんとなくワーカー♀ではなく創設女王のような気がしますが、どうですかね?
後脚の花粉籠は空荷でした。
マクロレンズで接写するには大き過ぎますね。



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