2015/02/21

ケブカスジドロバチ♀の泥巣作り#2:接写



2014年10月下旬


▼前回の記事
ケブカスジドロバチ♀の泥巣作り#1:全景
蜂が通って来るコンクリート基礎の窪みの横に座って待ち構え、マクロレンズで接写してみました。
カメラの準備が出来るまでの時間稼ぎとして、巣穴に近づく蜂を手で払ったり、巣の前にペットボトルを置いたりして邪魔しました。
それでも戻ってくる蜂が健気です。
壁際で私がじっとしていれば蜂は気にせず窪みに巣材を搬入し、巣造りを続けてくれます。
一度は撮影中にリモートレリーズの誤作動でアラーム音が鳴り出したこともありました。
それでも蜂は意に介さず造巣作業を続けました。
小さな泥玉を咥えて帰巣した蜂は大顎で穴の奥に巣材を詰めています。
窪み自体が三次元的に複雑な形状をしているので、泥を詰めておそらく育房の滑らかな内壁を作ろうとしているのでしょう。
巣内は暗くてあまり良く見えないのですが、何か構造物(徳利状の泥巣など)を作っているようには見えませんでした。
手鏡で照らせば穴の奥がよく見えたはずですけど生憎この日は忘れてしまいました。

採土場および水場の位置は不明です。
帰巣間隔が短いので遠くないと思うのですが、突き止められませんでした。

映像の撮影時刻は午後12:35〜15:14。
途中で何度かハイスピード動画に切り替えたりしました。(映像公開予定)
この日の観察中に2〜3回だけ、蜂が白壁の手前の地面に降り立つことがありました。(@4:39)
背側からのアングルしか撮れず、採土行動なのか不明です。
着地したとき既に泥玉を咥えているように見えたので、ただの休憩かもしれません。

せっせと巣材を搬入していたのに、パタリと蜂が来なくなる時間帯がありました。(13:32〜15:11)
直射日光の照りつける日向の気温は40℃近くありました。
さすがに蜂にとっても暑過ぎたのかもしれません。
涼しくなるまで昼寝でもしているのでしょうか。
営巣サイクルは造巣→産卵→貯食→閉鎖と予想されます。
したがって育房が完成するまでは狩り・貯食を始めないはずです。
あるいは、栄養補給のため訪花しているのかもしれません。
この時期に山中で咲いている花はほとんど無いのですが、蜜源植物は何でしょう?
辛抱強く(執念深く)待つと蜂が戻って造巣を再開してくれ、胸を撫で下ろしました。

つづく→シリーズ#3:ハイスピード動画

さて、このドロバチの名前は何でしょう?
未採集ですが、巣穴を採寸したので比較で蜂の体長を推定することが可能です。
胸背や腹部の黄紋を頼りに絵合わせしても、完全に一致する種類の蜂が見つかりません。
アジアキタドロバチ♀(Allodynerus mandschuricus)にしては中胸背(?)の1対の黄紋が有ったり無かったりで違います。
エゾスジドロバチ(学名不明)の写真(12)とも似ていますが、腹部の黄紋の本数が1本足りません。



いつもお世話になっている「蜂が好きBBS」にて問い合わせたところ、青蜂@管理人さんより以下のご教示を頂きましたので訂正。
写真のドロバチは、ケブカスジドロバチ♀(Ancistrocerus melanocerus)のようです。
検索キーには記載されていませんでしたが、手元の標本と触角間の黄紋も同じでした。
ケブカスジドロバチはどこに注目して毛深いと称しているのか?という素朴な疑問が湧きました。
再び青蜂@管理人さんより回答。
ケブカとはいいつつも、資料には体毛に関する記述はなく、じっくり比べてみたことがないのでわかりません。実体顕微鏡などで拡大すると確かに毛深い印象はあります。
参考資料PDF 
Yamane, Seiki. "A revision of the Japanese Eu-menidae." Insecta Matsumurana (New Series) 43 (1990): l-189.
ケブカスズメバチみたいな感じですかね?


丸耳ニホンカモシカとの再会@葛折



2014年10月下旬

里山で山腹の葛折(九十九折)を登っていると顔馴染みのニホンカモシカCapricornis crispus)に遭遇しました。
この日の私は急ぐ用事があったので、ガサガサと落ち葉を踏む足音も気にせずハイペースで山道を登っていました。
斜面の上に居たカモシカが先に気づき、茂みを上の方へ逃げました。
姿は見えないものの鼻息威嚇を繰り返してくるので、こちらも歯擦音で応戦しました。
(映像はここから。)
私が更に山道を登って葛折を曲がると、カモシカは逃げずに待っていてくれました。
カモシカの方が私よりもやや高い所に位置しています。
体は左半身を向けて、顔だけこちらを向いています。
対峙する間に顔つきを観察すると、太くて立派な角を持っています。(右角の湾曲がやや目立つ。)
耳介が非対称という特徴があり、右耳の先が丸みを帯びている個体です。(左耳は先が尖っている。)
記録を辿ってみると、2013年7月下旬に出会ったカモシカと同一個体と思われます。

▼関連記事
杉林のニホンカモシカ
遭遇地点を地図上で繋いでみると、縄張りの範囲が少しずつ見えてきます。

私がじっと撮影していると、やがてカモシカは鼻息威嚇を再開。(@0:57)
方向転換しつつ蹄で地面を叩くように踏み締めました。(@1:39)
これも威嚇(示威行動)の一種かもしれませんが、地面が固くないので蹄の音は響きません。
ほぼ正面を向いてしばらく睨み合った末に、カモシカはフシュフシュ♪と鼻息を荒らげて威嚇しながら斜面を駆け下りました。
カモシカは葛折をショートカットして姿を消しました。
カモシカの採食メニューになりそうな周囲の灌木は紅葉した落葉樹と、常緑樹ユキツバキが目に付きました。

撮影時刻は午前11:50。



木の幹で日光浴するルリタテハ



2014年11月上旬

林道脇の雑木林でルリタテハKaniska canace no-japonicum)が幹に下向きで止まっていました。
翅を開閉しながら日光浴しています。
暑いのか、やがて翅を閉じてしまいました。

初めは林道上で日光浴していたようです。
山道を登る私がルリタテハに気づかずに近づくと目の前から飛び立ち、横の木に止まりました。



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