2014/09/15

体内寄生されたマイマイガ前蛹c(蛾)の生命力



2014年7月上旬


▼前回の記事
マイマイガ(蛾)を寄主とするヤドリバエ終齢幼虫が囲蛹になるまで【50倍速映像】

ヤドリバエ(種名不詳)幼虫が脱出してから5日後、体内寄生されていたマイマイガLymantria dispar japonica)前蛹cが仰向けに静止したので斃死したかと思いきや、飲まず食わずで生きていました。(生ける屍)
ピンセットで刺激すると、蠕動というよりも身を攀じって(回して)暴れます。
脱出したヤドリバエの幼虫は結局1匹だけでした。(単寄生)
その後は私が興味を失ってしまい、いつ死んだのかは確認していません。
脱皮・蛹化しないまま、夏に死んでいました。



2014/09/14

トウモロコシ畑の害虫アブラムシを捕食するスズメ(野鳥)



2014年7月中旬

住宅地のトウモロコシ畑でスズメPasser montanus)が採食していました。
よく見ると、どうやら花や茎にびっしり群がる黒いアブラムシ(種名不詳※)を啄んでいるようです。
スズメは数羽の群れで居たのですが、撮れたのは一羽のみ。

※ 
映像に登場するアブラムシを真面目に同定した訳ではありませんが、その名もずばりトウモロコシアブラムシRhopalosiphum maidis)という種類がいるようです。

スズメは秋に稲穂を食い荒らす害鳥として稲作農家に嫌われますが、雛に給餌する繁殖期には虫も大量に捕食するので害鳥/益鳥のレッテルを単純に貼れません。

『スズメ百態面白帳』p17によると、
食物の年間の全体総量では植物質が88%を占めているが、動物質も12%含まれている。(中略)動物質の主のものは昆虫で、5、6月には食物量の40%前後を占めている。

毛沢東は大躍進政策の一環としてスズメの徹底駆除を命じました。

生態系から捕食者を除去するとどうなるか、という壮大な生態学の実験をしてくれたことになります。
人海戦術による消滅麻雀運動の結果、害虫の大量発生を招き人民は凶作と飢饉に苦しみました。
(参考:四害駆除運動@wikipedia


『スズメ百態面白帳』p26-27によると、同様の逸話は欧州にもあるようです。
プロシアのフレデリック大王はサクランボが好きで、庭園に植えられた桜の果実をスズメが啄むので、大規模な駆除を命じたそうです。(2年間で計76万5千羽!)
ところがサクランボが豊作になるどころか毛虫が大発生して桜の木は丸裸になり無残な結果になったとのこと。


▼関連記事
トウモロコシ畑で実を採食するスズメ(野鳥)


マイマイガ(蛾)を寄主とするヤドリバエ終齢幼虫が囲蛹になるまで【50倍速映像】



2014年7月上旬

▼前回の記事
マイマイガ(蛾)前蛹cから脱出するヤドリバエの終齢幼虫【微速度撮影】

マイマイガLymantria dispar japonica)前蛹cの体内から脱出したヤドリバエ(種名不詳)の終齢幼虫が容器内で蛹化するまで微速度撮影してみました。
50倍速の早回し映像をご覧ください。
自然環境であればヤドリバエ幼虫は地中に潜って蛹化するはずですが、プラスチック容器内に閉じ込められランダムウォークするウジ虫に遭遇する度に寄主のマイマイガ前蛹cは嫌がって逃げ回ります。

やがてウジ虫が運動性を失い、蛹化を開始しました。

終齢幼虫の外皮中で蛹化し、囲蛹を形成します。
従って脱皮殻(抜け殻)を残しません。
少しずつ囲蛹の黒化(色素沈着)が進みます。



寄生ハエ囲蛹の飼育法について

5日後に撮ったヤドリバエ囲蛹の写真↑です。
その後は残念ながら、待てど暮らせど成虫が羽化してくれません。
成虫が得られないと名前も分からないので困りました。(ブランコヤドリバエ?)
ヤドリバエの羽化には湿り気が必須なのかな?
囲蛹を裸で飼うと、乾季だと思って休眠状態に入ってしまうのでしょうか?
暗所に置かないといけないのか?など色々と悩みます。
ちなみにドロバチの巣を発掘した際に採集した寄生ハエ(ドロバチヤドリニクバエ?)の囲蛹からは、過去に同様の飼育法(乾燥条件)で問題なく羽化しているので不思議で仕方がありません。

やはり今からでも容器に土を入れてやる(囲蛹を土に埋めてやる)べきでしょうか?
恥ずかしながらこれまで私の虫の飼育の失敗の多くはカビが原因です。
霧吹きしたり土を入れたりすると、特に梅雨時や夏はあっという間にカビが発生蔓延してしまい他の飼育容器までもが全滅してしまった苦い過去があり躊躇しています。

いつもお世話になっているハエ関係の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂」で質問してみると、アノニモミイアさんから以下の回答を頂きました。

本科に最も詳しい研究者に以前お聞きしたところ,ヤドリバエの囲蛹は囲蛹化した位置に置かないと羽化しにくい,囲蛹を動かすとまずい,と言う話をお聞きしたことがあります。ヤドリバエ科の多くの幼虫は寄主から脱出した後は当然地上に落ちるでしょうから,常識的に考えれば地中に潜り込んでそこで囲蛹化するのではないでしょうか。
このような見解を元に考えますと,寄主から脱出してまだ囲蛹化していない蛆は湿り気のある清潔な土を入れた容器に移すことが適当かとおもいます。また容器内(裸出した状態)で囲蛹化してしまったものは,そのまま動かさないで,上記のような湿った清潔な土(電子レンジなどで蒸気消毒したもの)をやさしく掛けるということも考えられます。
園芸用の赤玉土の細粒(小粒より小さい)と言うのがあります。私はこれを十分に湿らせたうえで電子レンジで蒸気消毒したものを長期休眠(初冬から翌年晩秋まで)するハエの幼虫に使ったことがあります。好成績でした。数か月以上に亘ってカビなどが生じなかったです。ご参考までに。
土を昆虫の飼育に長期に使うときは,庭の土などはかなり用心して用いないと,中に捕食者の卵や幼虫などが含まれていることがあります。また,トビムシ類もかなり入っていて,繁殖します。土はポリ袋に入れて(密閉しないで)電子レンジで内部が高温になり熱い蒸気で滅菌,殺虫して使うのが安全です。

確かに数少ない成功例を思い返してみると、完全に忘れていて放置していたらいつの間にか寄生ハエが羽化して死んでいたことがありました。(寄主イラガ、オビガ、タケカレハ)
撮影のために蛹を転がしたりいじくり回すことが致命的だったようです。
まさかヤドリバエの囲蛹がそんなに繊細だとは知りませんでした。
自力でこれを突き止めるのは無理でした。
次回からは殺菌した土を入れてみようと思います。

つづく


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