2018/01/27

フトスジモンヒトリ(蛾)の幼虫は有毒植物トリカブトの葉を食べるか?



2016年9月下旬

里山で細い山道を下っていると、トリカブトの一種の葉裏にじっとしている毛虫を発見。
おそらくフトスジモンヒトリSpilarctia obliquizonata)の幼虫だと思います。
静止している毛虫は動画ブログのネタにならないのでスルーしかけたのですが、この葉に食痕があったので俄然、興味を持ちました。
トリカブトは強力な有毒植物として悪名高いのに、葉を食べる幼虫がいるとは知りませんでした。

「蓼食う虫も好き好き」という諺がありますけど、鳥兜食う虫は命懸けです。
トリカブトの毒性は根だけでなく葉を含む全草に含まれるそうです。

この毛虫が不活発なのは脱皮前の眠かもしれませんが、もしかするとトリカブトの葉を誤って食べてしまったことによる中毒症状で弱っているのか?と想像を逞しくしました。
せめて、この毛虫に触れてみて逃避行動を起こすかどうか確かめればよかったですね。
ただし、葉に残る食痕がこの毛虫による虫喰い穴とは限りません。
トリカブトの葉を食害した犯人は別にいて、徘徊に疲れた毛虫がたまたまトリカブトの葉裏で休んでいただけかもしれません。

もしフトスジモンヒトリの幼虫がトリカブトの葉を食べるのなら、証拠映像を撮りたいところです。

しかし下山を急いでいた私は、短時間の観察で切り上げました。
トリカブトの株ごと採取して毛虫を飼育することも考えたのですが、持っていたナイフでトリカブトの茎を切ると有毒な汁がナイフに付着して危険だろう(果物ナイフとして使えなくなる?)と判断して諦めました。

帰宅後に、いつもお世話になっている幼虫図鑑サイトにて「トリカブト」を食草とする幼虫を検索しても、一件もヒットしませんでした。
更に「みんなで作る日本産蛾類図鑑」サイトにて同じく「食草:トリカブト」で検索すると、ヤガ科キンウワバ亜科の4種が該当しました。
いずれも幼虫の蛾像は掲載されていませんが、おそらく毛虫タイプではなくて芋虫タイプのはずです。
フトスジモンヒトリの既知の食餌植物リストにはクワが挙げられているだけで、トリカブト類は含まれていませんでした。
やはり、今回のフトスジモンヒトリ幼虫がトリカブトの葉に居たのは偶然の可能性が高そうです。

▼関連記事(10年前の撮影)
フトスジモンヒトリ(蛾)幼虫の遁走

この機会に、トリカブトの致死性有毒成分について、少し勉強してみました。
毒の主成分はアコニチンというアルカロイドで、薬理学的な作用機序としては、TTX感受性ナトリウムイオンチャネルの活性化による脱分極を引き起こすらしい。
つまりフグ毒テトロドトキシン(TTX)とは真逆の作用です。
トリカブトの葉を食べる昆虫が少数派なのだとすれば、何か解毒する仕組みや耐性、抵抗性を獲得・進化させた結果、新しいニッチに進出したのでしょう。
とりあえず、トリカブトを食べることが報告されているヤガ科キンウワバ亜科の4種(エゾキンウワバ、アカキンウワバ、マダラキンウワバ、エゾムラサキキンウワバ)について、ナトリウムイオンチャンネルの遺伝子配列を調べてみたら面白そうです。
(アコニチンが結合できないような突然変異をしているのでは?という単純な予想です。)

しかし、ここまで書いてから気づいたのですが、トリカブトを訪花するハナバチは吸蜜しても花粉を幼虫に給餌しても平気なことを忘れていました。

▼関連記事
トリカブトを訪花するトラマルハナバチ♀
今回も映像を見直すと、毛虫の背後でトラマルハナバチ(Bombus diversus diversus)のワーカー♀が忙しなくトリカブトを訪花していました。

トリカブトの花が咲く秋の山野で採餌活動したミツバチが巣に蓄えた蜂蜜をヒトが横取りして摂取すると、トリカブト中毒によって死亡事故が起こり得るそうです。
それに対して、昆虫など無脊椎動物のナトリウムイオンチャンネルはトリカブトのアコニチンに感受性がないのかもしれません。

つまりトリカブトの殺意は、昆虫ではなく主に草食動物(哺乳類)に向けられているのでしょう。
確か昆虫にもTTX感受性ナトリウムイオンチャネルが発現しているはずですけど、昆虫とヒトでナトリウムイオンチャンネルのアミノ酸配列や立体構造はどのぐらい似ているのかな?

それにしても、トリカブトの葉を食べる鱗翅目があまり知られていないのは不思議です。
トリカブトはアコニチン以外の毒を何種類も葉に蓄積して、食植性昆虫に食べられないように自衛しているのでしょう。
(メサコニチン、アコニン、ヒバコニチン、低毒性成分のアチシンの他ソンゴリンなど)
これらの気になる問題を昆虫学者は誰も調べていないのですかね?
試しに軽く文献検索してみても、関連研究は見つけられませんでした。

今回の動画は退屈かもしれませんが、こうやってあれこれ思索するだけでも冬の楽しい暇潰しになります。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



ウドの花蜜を吸うキアシナガバチ♀



2017年8月下旬

道端で家庭菜園のように植えられたウド(独活)の株にキアシナガバチPolistes rothneyi)のワーカー♀が訪花していました。
本当は飛び立つまで見届けたかったのですけど、とにかく吸蜜に夢中です。
アシナガバチ類(Polistes属)では他にコアシナガバチ♀も訪花していたのですが、こちらは撮り損ねました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2018/01/26

オオモンクロクモバチの探索徘徊と身繕い



2016年7月上旬

里山の麓の道端でオオモンクロクモバチAnoplius samariensis)を発見。
沢の水が流れている路肩の水路に沿って、まだ
草があまり生えていない土手があり、蜂はそこを重点的に歩き回っていました。
本種の性別の見分け方を知らないのですが、行動から見ておそらく、獲物となるクモを探索中の♀だろうと想像しました。

▼関連記事のまとめ (6年前に同じ場所で撮影)
オオモンクロクモバチ♀がスジアカハシリグモ♀を貯食するまで

蜂は路肩を重点的に調べています。
クロオオアリCamponotus japonicus)のワーカー♀に出会うとオオモンクロクモバチの方が大きな体をしているのに、慌てたように逃げて行きました。
舗装路で立ち止まると、しばらく念入りに後脚を擦り合わせたりして身繕い(化粧)しました。
車道を足早に走り回る際は、ほぼ直線の動きです。(まっしぐら!)



ハチミツソウの花を舐めるオオハナアブ♀



2017年8月下旬

農業用水路沿いに咲き乱れるハチミツソウ(別名ハネミギク)の群落でオオハナアブ♀(Phytomia zonata)が訪花していました。
口吻を伸縮させて花蜜や花粉を舐めています。
左右の複眼の間隔が開いているので♀ですね。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


オオハナアブ♀@ハチミツソウ訪花食餌
オオハナアブ♀@ハチミツソウ訪花摂食

2018/01/25

アオイトトンボ♀♂がサジオモダカ?の茎に連結産卵



2016年9月下旬

平地の浅い沼(湿地)でアオイトトンボ♀♂(Lestes sponsa)が連結状態(尾繋がり)で飛び回っていました。



初めはヨシの枯れた茎に連結状態で止まっていました。
休んでいる♀を急かすように♂が羽ばたいて、離陸を促しています。
ペアが連結飛翔で移動すると、サジオモダカと思しき抽水植物の茎に掴まりました。
アオイトトンボ♀は腹端を植物体に押し当てると、尖った産卵管を刺し込み、産卵を始めました。
茎に産卵管を軽く押し当てた状態で錐揉みするように左右にねじるような動きをして穿孔しています。
その間、アオイトトンボは♀♂ともに翅は半開きでした。
産卵を済ませると♀が主導して飛び立ちました。
(飛び立ちのシーンをスロー再生で見直すと、やはり♂が先に羽ばたきを始め♀をリードしていました。)

浅い水から生えている注水植物の茎から茎へ点々と移動しながら産卵を続けます。

しっかり同定するために胸部の斑紋を真横から撮りたいところです。
しかし意外に至近距離だったので、私が下手に動くと飛んで逃げられてしまいそうな気がしました。
仕方なく、我慢して産卵行動の動画撮影を優先しました。
遅ればせながらネイチャーガイド『日本のトンボ』という図鑑を手に入れたおかげで、苦手なトンボの名前調べも捗るようになりました。

やはり、収録種数の少ないミニ図鑑を何冊持っていても、埒が明かないですね。



産卵していた植物の名前も調べるのに苦労しました。
ただでさえ挺水植物の知識も図鑑も無い上に、花も咲いていないのでは、難問過ぎます。
ネットであちこち調べ回り、なんとなくサジオモダカかな?と思うものの、あまり自信がありません。
花期に現場を再訪して、しっかり突き止めるつもりです。

アオイトトンボ♀が後半に産卵した細い茎の植物は、ミクリじゃないし、何ですかね?(@3:09〜)
卵を産み付ける植物の種類は特に選り好みしないようです。

普段ヒトがあまり踏み込まない湿地帯に長靴を履いて出かけると、何かしらの新しい発見がありますね。

水深は浅く、長靴のくるぶしぐらいでした。
水面に油が浮いていて、お世辞にも水質はあまり綺麗とは言えませんでした。


アオイトトンボ♀♂@サジオモダカ?茎+連結産卵
この挺水植物の名前は?

サジオモダカ?・全景(水面に油が浮いている)
サジオモダカ?葉
サジオモダカ?(この粒々が蕾なのか実なのか、よく分かりません)

スペアミントの花で食餌をするコアオハナムグリ



2017年8月下旬

民家の庭に咲いたスペアミントの群落でコアオハナムグリGametis jucunda)が訪花していました。
花に頭を突っ込んで花粉や花蜜を食べています。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


コアオハナムグリ@スペアミント訪花
コアオハナムグリ:側面@スペアミント訪花

2018/01/24

コンクリート壁に集まるオオナミザトウムシ?の群れ 【その4】



2016年10月下旬・午後15:26〜15:31


▼前回の記事
コンクリート壁に集まるオオナミザトウムシ?の群れ 【その3】

一方、オオナミザトウムシNelima genufusca)らしき3匹からなる第1群(a,b,c)のうちの一匹cが、いつのまにか群れを離れてコンクリート壁面の左下に移動していて、地面の近くで静止していました。
cは歩脚に欠損がなく8本脚の個体です。

再びコンクリート壁(西面)を登り始めたので、仲間(a,b)に再合流するかと思いきや、左の角を曲がりました。
コンクリート壁(北面)の縦溝を渡るのにしばらく逡巡しています。
縦の凹溝(幅4cm、奥行2.5cm)をあっさり乗り越えると、ひたすら横に移動します。
次の角に達すると地面に降りました。
この角の上部には6本脚の別個体g(-R1L2)がへばりつくように静止していました。
2匹は互いの存在に気づいていないようです。
ザトウムシの視力はどのぐらい良いのでしょう?(徘徊性クモと同程度?)
集団越冬するためにザトウムシが集結しつつあるのなら、カメムシのように集合フェロモンを放出しているのかと思いました。


ところが、個体cが歩いてきた軌跡はg(-R1L2)に誘引されていませんでした。
この日は風が強いから集合フェロモンが拡散してあまり役に立たないのですかね?
もう少し粘って観察を続ければ、何か面白い出会いの行動が見られたでしょうか?
三脚を持参していれば、微速度撮影でコンクリート壁面を長時間監視できたのですけど。
ザトウムシの緩やかな離合集散を漠然と眺めているだけでは、一体何が起きているのか、何を目的に集まっているのか、よく分かりませんでした。
建物をぐるっと一周して調べても、他の方角の壁面にザトウムシは集まっていませんでした。

このままコンクリート壁面にへばりついていても、本格的な冬が来ればこの高さだと根雪に埋もれてしまいます。
したがって、ザトウムシの集団越冬地はどこか別の場所にあるはずです。
実際、後日に現場を再訪したらザトウムシの群れは一匹も居なくなっていました。

ザトウムシの生態にも興味があるので、いつか飼育してみたいものです。
とりあえず、ザトウムシの性別や成体/幼体の見分け方など基本的なことを勉強しなければなりません。

シリーズ完。

今回の連載で登場した計7匹は互いに血縁関係にあるのかどうか、気になります。

g(-R1L2)

ハチミツソウの花で採餌するトモンハナバチ♀♂の羽ばたき【HD動画&ハイスピード映像】



2017年8月下旬

農業用水路沿いに咲き乱れるハチミツソウ(別名ハネミギク)の群落でトモンハナバチ♀♂(Anthidium septemspinosum)が訪花していました。
採餌している♀(背板に十紋ともん)は腹面のスコパに橙色の花粉を付けています。

後半は、雄蜂♂(背板に十二紋、頭楯が黄色)が花から花へ飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:32〜1:20)
スーパースローの最後に登場する個体は♀ですね。(@1:20〜)

♀♂をそれぞれ別の動画に分ければ良かったのですが、♀♂が混じっていることに後で気づきました。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

ハチミツソウの隣に咲いていたクサフジの群落で訪花中のトモンハナバチ♀に♂が飛びかかって交尾を試みるシーンを目撃しました。
交尾には至らず(交尾拒否?)別れてすぐに飛び去ってしまいました。


トモンハナバチ♀@ハチミツソウ訪花採餌(♀は腹部背板の黄色斑が5対あり、腹部下面にスコパが有る)
トモンハナバチ♀@ハチミツソウ訪花採餌
トモンハナバチ♂@クサフジ訪花吸蜜(♂は頭楯が黄色)

2018/01/23

牛舎に忍び込むハシブトガラス(野鳥)



2013年7月中旬

山麓の農村で黒牛を飼養している畜舎の窓枠に止まっていた1羽のハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が中に侵入しました。

畜舎に忍び込んだハシブトガラスが一体何をしているのか直接観察できなかったので動画をお蔵入りしていたのですが、最近読んだ本で謎が解けたので、今頃になって公開します。
『人はなぜカラスとともだちになれないの? (シリーズ 鳥獣害を考える―カラス)』によると、

畜産農家では、ウシやブタなどの家畜がカラスにおそわれる被害がでています。カラスになんどもつつかれ、傷を負う子ウシや子ブタもいます。カラスは目や肛門などやわらかいところをねらうのです。乳牛が、乳房のあたりの血管をなんどもつつかれて、乳がでなくなったり出血死することさえおきています。(中略)家畜やニワトリの飼料も、カラスにとってはごちそうです。ウシやブタが食べているエサを横どりしたり、飼料の袋をやぶって、こぼれた飼料を食べてしまったりするのです。 (p29より引用)



なかなか凄惨で深刻な被害が出ているのですね。
それにしては牛舎の窓を無防備に開け放してあります。

カラスが畜舎に侵入しても中の黒牛は特に騒いだりしませんでした。
その後、牛舎内で飼料を盗み食いしたと思われるハシブトガラスがすぐに外に飛び出して来た瞬間は撮り損ねてしまいました。



寄生植物アメリカネナシカズラの花蜜を吸うセイヨウミツバチ♀



2017年8月下旬

農業用水路の土手に蔓延る寄生植物アメリカネナシカズラの群落でセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が訪花していました。
後脚の花粉籠は空荷です。
複雑に絡み合った茂みの奥にセイヨウミツバチが潜り込んでしまうので苦労したものの、執念でなんとか吸蜜シーンを撮りました。
複数個体を撮影。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2018/01/22

コンクリート壁に集まるオオナミザトウムシ?の群れ 【その3】



2016年10月下旬・午後15:27〜15:57
▼前回の記事
コンクリート壁に集まるオオナミザトウムシ?の群れ 【その2】


コンクリート壁面に3匹で集合していた、おそらくオオナミザトウムシNelima genufusca)と思われる第2群のうち1匹(小型の♂?d)が群れを離脱して移動を始めました。
右側の第2および第4歩脚が根元から欠損した個体です。(-R2,4)

壁面をいったん右に移動してから下に向かい、地面に到達すると砂利の上で静止。
その間、コンクリート壁面では2匹efが静止したまま居残っています。


e,f


もしこの集合が配偶行動なら、ライバル♂に対して劣位の♂が諦めて♀から離れたのか?と解釈するのですが、ザトウムシのことをよく知らない私にはなんだかよく分かりません。
そもそも、♀を巡って♂同士の争いがあったようには見えませんでした。

少し目を離した隙に、いつのまにか♂?d-R2,4が壁面に戻っていました。
幸い、カラーペンなどでマーキングを施さなくても歩脚の欠損具合から個体識別が可能です。
地上から高さ80cmのところにあるコンクリートの庇に逆さまにぶら下がった体勢で縦溝を乗り越えました。
一休みしてから、更に壁面を右へ右へと移動を続けます。
立ち止まっているときも長い歩脚で辺りを探っています。

しばらくすると、いつの間にかコンクリート壁を登り切り、上の資材置き場を歩き回っていました。
雪囲い用に保管された丸太の上を徘徊し、木造家屋の板壁を登り始めました。

一匹狼の個体♂?d-R2,4がこの後どこに行ったのか、残念ながら見届けていません。
集団越冬に適した場所を探しているのだとしたら、軒下の隙間などを調べたのかもしれません。

それにしても、恐ろしく長い歩脚による滑らかな走破能力は見ていて惚れ惚れしますね。
複数の歩脚が同時に欠損しても支障なく歩行(移動運動)を続けられる冗長性が素晴らしいです。
次世代の惑星探査ロボットは、車輪やキャタピラを移動手段とするのではなく、ザトウムシ型の八足歩行ロボットにしてはどうでしょう?

つづく→その4




【追記】
今回注目した個体は、特に長い第2歩脚の右側を根元から欠損しているのに支障なく歩行運動できたことが興味深いです。
昆虫で言えば、触角の片方を失った状態です。

ザトウムシは昆虫のように触角をもっておらず、歩行器官である歩脚、特に前から2番目の一対を触覚センサとして用いることでその行動を可能にしているとされている。」
門脇廉; 野原拓也; 菊地吉郎. 221 ザトウムシのセンサとしての歩脚 (OS3-3: 生物遊泳・飛翔とバイオミメティクス (3), OS3: 生物遊泳・飛翔とバイオミメティクス). In: バイオエンジニアリング講演会講演論文集 2007.20. 一般社団法人 日本機械学会, 2008. p. 279-280.

ハシボソガラスによるメヒシバの種子散布?

高圧線の鉄塔#21でのハシボソガラス営巣記録#37


2017年8月下旬

繁殖期はとっくに終了していますが、久しぶりにハシボソガラスCorvus corone)の古巣#21の様子を見に来ました。
多数の枯れ枝を組み合わせて春に作られた巣は、電力会社に撤去されることもなく残っていました。
巣が貧相に見えるのは、風雨に晒されて巣材が少しずつ崩壊・脱落しているためでしょう。
記録のために撮った写真を拡大してみてみると、高所にある古巣から青々としたイネ科の雑草が生えていることに気づき、興味深く思いました。
穂の形状から、どうやら一年草のメヒシバのようです。




メヒシバの種子はタンポポやガマの綿毛のような風散布型種子ではありませんから、こんな高所に種子が自然に辿り着くことは絶対にあり得ません。
動物による種子散布の結果だとすると、「カラスの親鳥が雛鳥にメヒシバの実を給餌して、雛が未消化の種子を巣内に排泄した」というのが最も素直な解釈でしょう。
カラスの親鳥は雛が排泄した糞を甲斐甲斐しく巣外に運び出していましたが(排糞行動)、それでも巣内は糞で汚れていると思われます。
なぜなら鉄塔の真下が数多くの鳥の糞で汚れていたからです。

▼関連記事
最後の雛も巣立った後のハシボソガラス空巣とその真下の糞(野鳥)
しかし、6月中旬にはもうハシボソガラスの雛は全て巣立っていますから、メヒシバの花期(7〜11月)や結実期には間に合いません。
つまり、カラスの親鳥が雛に給餌している育雛期にメヒシバは実をつけていないはずです。

第二の可能性として、種子食性の他の野鳥(スズメやカワラヒワなど)が鉄塔で休んだ際に、たまたまカラスの巣の上で糞を落としていったのかもしれません。

後藤三千代『カラスと人の巣づくり協定』によると、カラスの親鳥が巣を作る際にさまざまな植物を練り込んだ土塊を巣の底(産座の下の基盤部)に詰めるらしいのです。


この土の塊がどのようにして運ばれてきたのかをみるために、巣の基盤部の塊の土を採り調べたところ、いずれからもハシボソガラスのDNAが見つかったため、カラスが口にくわえて運んできたことが推察される。電柱営巣の基盤部の土に混じってイネの籾殻や水田に発生するクログワイが見つかっており、多くの土は水田から運ばれている可能性が高い。 (p74-75より引用)
また、著者の研究グループがハシボソガラスの内巣の基盤部の土塊に混じっていた植物の茎や細い根を丹念に同定したところ、イネ科植物のリストの中にメヒシバも含まれていたそうです。(p48, 73)


(私はまだ実際にカラスの採土行動を観察したことはありません。)
その土に混入していたメヒシバの種子が芽生えたという第三の可能性も考えられます。(この場合もカラスの採土行動は植物を助ける種子散布と呼べるのかな?)
高圧線の鉄塔にある古巣は日当たり良好ですけど、雨を保水する土壌が無いと植物は育たないでしょう。
古巣内に雛の糞などが残っていれば良い肥料になりそうです。
この古巣を回収して調べてみたいのですが素人には手が出せず、文字通り、高嶺の花です…。


ハチミツソウの花蜜を吸うハラアカヤドリハキリバチ



2017年8月下旬

農業用水路沿いに咲き乱れるハチミツソウ(別名ハネミギク)の群落でハラアカヤドリハキリバチ(旧名ハラアカハキリバチヤドリ)Euaspis basalis)が訪花していました。

ハラアカヤドリハキリバチは労働寄生種なので当然、腹面にスコパはありませんし、集粉も行ないません。
花蜜が目当てで花から花へと、ひたすら吸蜜して回ります。
ハキリバチ科の蜂は普通、スコパ(刷毛)の有無で性別を見分けられるのですが、労働寄生種ハラアカヤドリハキリバチの場合は性別の見分け方が分かりません。

複数個体を撮影。
今まで本種を山地でしか見たことがなくて、平地では初見です。
この辺りは、寄主であるオオハキリバチの生息密度が高くて、自然度が高い環境なのでしょう。
ハチミツソウの同じ群落で寄主オオハキリバチも訪花していたのですが、ニアミスしたシーンは見れませんでした。
餌場で♀の寄主を見つけたハラアカヤドリハキリバチがそのままオオハキリバチの営巣地まで追跡するのかどうか、興味があります。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2018/01/21

コンクリート壁に集まるオオナミザトウムシ?の群れ 【その2】



2016年10月下旬・午後15:06〜15:14


▼前回の記事
コンクリート壁に集まるオオナミザトウムシ?の群れ 【その1】

横に長いコンクリート壁(建物の土台の西面)で、先程見つけた第一群の右側には、更に別の3匹が集まっていました。(第二群:左から順にd,e,f)
これらもオオナミザトウムシNelima genufusca)と似ています。
雨を凌げる庇(地上からの高さ80cm)の下にひっそりと潜んでいます。
中央の個体eは大型なので♀なのかな?
横から見ると、胴体の下面(腹側)が白く、背側から見るよりも腹部の体節構造が明瞭に分かります。

大型のeを左右から挟んでいる小型の個体d,fは♂なのか、それとも幼体なのかな?
しかし♀♂の配偶行動は見られず、ただじっとしています。

♀が性成熟するまで♂が交尾前ガードしているようにも見えますけど、そもそもザトウムシの繁殖期が秋なのかどうか知識がありません。

互いにかなり接近した状態で静止しており、長い歩脚が絡み合っています。(個々の歩脚を数えるのも一苦労)
歩脚が何本か欠損している個体がいます。

強い横風に吹かれて、胴体が上下に揺れています。
横から見ると、長い歩脚のサスペンションで胴体が支えられていることがよく分かります。


つづく→群れから一匹が離脱


d,e,f
d,e,f
d,e,f:側面
d
e
e
e:側面
f

ツリフネソウの花で盗蜜するクマバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】



2017年8月下旬

山麓の休耕田(湿地帯)の端に咲いたツリフネソウの群落でキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が忙しなく飛び回っていました。
訪花シーンをよく見ると、花の開口部からは一度も正当訪花せず、ひたすら穿孔盗蜜していました。
花蜜が溜まっている筒状の距の先端に口吻を突き刺して盗蜜しています。
雄しべに全く触れないので、当然ながら体は花粉で汚れていませんし、後脚の花粉籠も空荷です。
後半は、花から花へ飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@2:32〜)

この群落をよく見ると、散った花の一部が既に結実しています。
受粉しているとすると、ツリフネソウの送粉者は何者なのでしょう?
映像を見直すと、後脚の花粉籠に白い花粉団子を付けたセイヨウミツバチ♀がクマバチの隣で正当訪花している姿が写っていますね。
体が小さいミツバチは花の入り口から楽々と潜り込めるので、盗蜜する必要がありませんし、花粉も集めることができます。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



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