2017/12/02

高圧線鉄塔に運んだ獲物をついばむノスリ(野鳥)



2017年7月上旬・午前4:28〜4:40 (日の出時刻は午前4:22)

早朝の田園地帯で、1羽の大型の猛禽類αが奇妙な飛び方をして(ヒラヒラとチョウゲンボウみたいな飛び方)道端の電柱(いわゆる普通の高さの電柱)に止まりました。
(映像はここから)
私を警戒してそこから更に飛び立ち、近くの高圧線鉄塔#23に向かいました。
このとき、力強く飛び去る猛禽類が足の鉤爪で何か獲物を掴んで運んでいることに気づきました。
空輸する獲物が重くて、いつものように上手く飛べないのでしょう。
映像冒頭は1/4倍速のスローモーションで始まります。
獲物は自分で狩りをして仕留めた小動物(哺乳類)なのか、それとも夜に車がはねた死骸(ロードキル)を見つけただけなのか、正体不明です。
死肉食ならノスリよりもトビMilvus migrans)の可能性が高まります。

私も急いで追いかけると、おそらくノスリButeo japonicus)と思われる猛禽類が高圧線鉄塔#23の鉄骨中段に止まり、足元の獲物を食い千切って捕食していました。
獲物が重くてこれ以上高く運び上げられなかったのかな?
この時点でカメラを上にパンしても、この鉄塔に他の野鳥は止まっていませんでした。
(鉄塔の最上部まで確認していないのが痛恨のミス)
ノスリ?αはキョロキョロと辺りを警戒してから朝食を摂り始めました。
獲物を足で押さえつけながら鋭い嘴で細かく引きちぎり飲み込んでいます。
やがて、どこからともなくピーエ♪という甲高い鳴き声が繰り返し聞こえるようになりました。
食事中のノスリ?αはこの鳴き声を聞いてもあまり気にせずに、獲物を食べ続けます。

鳴き声の主を探して私がカメラを上にパンすると、鉄塔の天辺にもう1羽のノスリβを発見。
私が知らぬ間に飛来したようです。
実はここはノスリのお気に入りの止まり場所なので、通りがかる度に気にして見るようにしています。(ノスリの定点観察)

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ピーエ、ピーエ♪という甲高い鳴き声と嘴の動きが一致したので(リップシンクロ)、鳴いていたのはこの個体βで間違いありません。
早朝から縄張り宣言の囀り♪(モーニングコール)でしょうか。
餌乞いの際は違う鳴き方をするような気がします。
鳴いているノスリβはときどき下を見ているのに、獲物をねだったり奪いに行かないのが不思議でなりません。
鉄塔は末広がりの構造なので、天辺から見下ろせば確実に食事中のノスリαの存在に気づくはずです。
この2羽はつがいの関係なのか、それとも親子なのかな?
その間、鉄骨中段でノスリ?αは黙って小動物を食べ続けています。

ここで私が欲を出して、真横からのアングルを確保しようと少し動いたら、警戒したノスリαに飛んで逃げられてしまいました。(痛恨のミス)
慌てて飛び去る姿をスローモーションで見直すと、今度は足の鉤爪に何も運んでいませんでした。
獲物はもう食べ尽くしてから飛び去ったのでしょう。
実は捕食シーンを撮影した個体αもノスリだと思っているのですが、識別点である翼の下面の模様を確認できていませんし、特徴的な鳴き声も発しませんでした。(例えば、実はトビだったのかもしれません。)

一方、鉄塔の天辺には相変わらずノスリβが残って鳴き続けています。
αが飛び去った方角をちょっと振り返って見ただけです。

私が更にもう少し横にずれると、ノスリβが再び鳴き始めました。
ピーエ、ピーエ♪と寂しげな鳴き声を何度も繰り返しています。


ノスリの捕食シーンを観察したのは、これが二回目です。

次は獲物を狩る瞬間を撮影してみたいものです。
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ノスリの狩り・捕食と飛翔(冬の野鳥)


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。(実際はもう少し薄暗いです。)



【追記】
宮崎学 『野生動物の首をしめるゴミ (かわりゆく環境 日本生き物レポート)』という本(写真集)を読んでいたら、ノスリも動物の死がいを食べることがあると知りました。
ネコの死がいを食べるノスリの生態写真が掲載されていて、
 ふだんはノウサギをはじめ、イタチ、リス、野ネズミ、ヘビ、カエルなどを狩って生きている。そのノスリが死んだネコを食べているということは、気位の高いタカとしては不似合いにうつる。 しかし、冬の時期はノスリといえども獲物をとりにくいから、たとえ死んだイヌでもネコでもシカでも、そこにありさえすればごちそうなのである。 (p108より引用)





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