2016/12/28

ウスムラサキイラガ(蛾)亜終齢幼虫の口元を隠す食事マナー



2016年9月上旬
▼前回の記事
ミズナラの葉を蚕食し脱糞するウスムラサキイラガ(蛾)亜終齢幼虫【100倍速映像】


ウスムラサキイラガ(蛾)の飼育記録#6


ウスムラサキイラガAustrapoda hepatica)の亜終齢幼虫ミズナラの葉を食害する様子を接写してみました。
まず初めは、10倍速の早回し映像をご覧下さい。
幼虫は常に葉の裏面に居て、摂食中は葉縁に体を少し乗り出しています。
食休みの際は少し移動して葉裏に完全に隠れました。
体色が黄緑色なので、濃い緑色の葉表よりも葉裏に居る方が目立たないのでしょう。
撮影中は強い照明(USBリングライト)を当てているので葉裏でも幼虫を見分けられますけど、消灯すると本当に目立たなくなります。
撮影のためにミズナラ葉の裏面を上に向けていても幼虫は葉裏に留まります。
つまり単純な重力走性ではなく、あくまでも葉の表裏を匂いや味、色などで区別しているのでしょう。
ウスムラサキイラガ幼虫を強制的にミズナラの葉表に移したときに、慌てて葉裏へ移動するかどうか確かめればよかったですね。

後半(@2:04-)は微速度撮影から通常のHD動画に切り替えました(以降は動画編集時に自動色調補正を施しています)。
口元の動きを観察したくて葉表から狙うと、葉縁から幼虫の頭部が少しだけ覗いています。
幼虫が葉脈を断ち切る音がかすかに聞こえます。

イラガの仲間の幼虫は胸部から前方に張り出したフードで頭部が完全に覆われてるため、口器の動きが隠されて全く見えません。
(このフードの正式名称は?)
常に口元を隠して食べるお上品な食事マナーと言えるかもしれません。
イラガ科の幼虫に特有なこのフードの意味や目的は何でしょうか?
食樹植物の噛み跡から放出される揮発性物質を抑えて、寄生蜂を誘引しないようにするためでしょうか?(その程度で抑制効果があるのか?)
天敵の捕食者は動きで獲物を目ざとく見つけるので、摂食中によく動く頭部全体をフードで隠してしまえば、狙われるリスクを減らせるのかもしれません。

つづく→#7:ウスムラサキイラガ(蛾)幼虫の最終脱皮【60倍速映像】



0 件のコメント:

コメントを投稿

ランダムに記事を読む