2015/11/16

網の糸屑を採食するジョロウグモ♂(蜘蛛)



2015年9月上旬

ジョロウグモ♀♂の定点観察#1


窓の外に張られた網にジョロウグモNephila clavata)♀が静止していました。
ここで店開きして、室内の照明に誘引される虫を網で捕らえる捕食戦略なのでしょう。
(この♀の発育ステージは最終脱皮前の亜成体であることが後に判明します。)

さて、♀と同居している♂の不思議な行動が気になりました。
逆光のため網や糸がほとんど見えないのですが、♂は網の中を活発に歩き回りながら脚にへばり付いた粘着糸を舐めて身繕いしているようです。
ときどき明らかに糸屑を食べている様子も観察出来ました。
それとも網に付着した超微小の昆虫を捕食しているのでしょうか?
造網性クモが網を取り壊す際に糸のタンパク質を再利用(リサイクル)するため糸を食べてしまうのは珍しくありません。
今回の場合は♀が作った網なので、♂が勝手に網を取り壊して主に怒られないのか心配になります。
♀は♂の振る舞いを振動で認識しているはずなのに、網の中央で下向きに占座したまま無反応でした(黙認)。
♂は♀に代わって網のメンテナンスをしているのかとも思ったのですが、食べ残しや目に見える大きさのゴミを網に放置していますから違いますね。

ジョロウグモの網は蹄形円網の前後に糸を不規則に張り巡らせた三重構造になっています。
この撮影アングルでは遠近感が不明で、♂が食べている(取り壊している?)網が主網なのか補助網なのかいまいち分かりません。
回り込んで横から観察できないのがもどかしいです。

♀の元に戻った♂が♀の前方から近づくと、邪険に追い払われました。(@3:29)
慌てて逃げた♂は♀の上で下向きに占座しました。(ライバル♂から♀を守る配偶者ガード)

繁殖期のジョロウグモ♂が♀の網に居候して何を食べているのか今まで分からず、不思議でした。(♂の捕食シーンを見たことがありません。)
♀と交接することで頭がいっぱいの成体♂は繁殖期の間は絶食しているのか?と思ったりもしたのですが、ようやく謎が解けました。


『自然の観察事典21:網をはるクモ観察事典』p20によると、

(ジョロウグモの)♀の網の上で、♂は、♀が成体になるのをじっとまちます。ときには、それは1ヶ月近くにもなります。そのあいだ♂は、まったく食事をとりません。なかには、ちゃっかりと♀の食べ残しをとるものもいます。でも多くの♂たちは、のまずくわずの状態で、ほかの♂が網にはいってくるのをふせぎます。





※ ガラス窓越しに撮ったやや不鮮明な映像に対して動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#2:ジョロウグモ(蜘蛛)亜成体♀をガードするα♂:求愛とパトロール



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