2015/10/29

ノブドウの花蜜を吸うキアシナガバチ黄紋変異♀



2015年8月中旬

山間部の峠道の横に生えたノブドウの群落でキアシナガバチPolistes rothneyi)のワーカー♀が訪花していました。

前伸腹節に黄紋が無い点はセグロアシナガバチと似ているものの、他の特徴はキアシナガバチっぽくて※、非常に悩ましいです。
キアシナガバチの黄紋変異なのでしょうか?
「この蜂は斯々然々の理由でこっちだ!」と玄人っぽく断定できるようになりたいものです。(後述)
実はこの近くの軒下に営巣したコロニーを定点観察していて、そのコロニーは創設女王、ワーカー♀、♂ともに同じ形質※を有しています。
したがって、この家系で遺伝する安定した形質のようです。
今回見つけたワーカー♀を一時捕獲して個体識別のマーキングを施せば、軒下の巣から通って来ていることが証明できたかもしれません。

▼関連記事(平地で観察した正真正銘のセグロアシナガバチ)
ノブドウの花蜜を吸うセグロアシナガバチ♀

【追記】
『日本の昆虫3:フタモンアシナガバチ』のp154から「日本産アシナガバチ属の検索表」が掲載されていたのを思い出して、該当部分を参照してみました。
後頭の隆条(occipital carina)は完全で大腮のつけ根に達する。前伸腹節の背面と側面の境界は角ばり、横走線条は強く完全で後胸側板との境界に達する。♂の触角先端は顕著なうちわ状。……Polistes rothneyi CAMERON


後頭隆条は不完全で大腮つけ根には達しない。前伸腹節の側面への角ばりはゆるく、横走線条は不完全で後胸側板との境界には届かない。♂の触角先端は正常。……Polistes jadwigae DALLA TORRE

後頭隆条がどこを指しているのかよく分からないのですが、前伸腹節に関する記述(下線)と下の写真を見比べてみました。
中胸背および前伸腹節の黄色い2縦線を欠いても、キアシナガバチと同定して良さそうです。


比較のために、セグロアシナガバチ♀の写真を再掲します。

中胸背に黄色の縦線が見られない黄斑変異の雄蜂も昔見かけています。
▼関連記事キアシナガバチ♂(黄斑変異)vs.栗のイガ

0 件のコメント:

コメントを投稿

ランダムに記事を読む