2014/02/22

網にかかったノシメトンボ♀を隠れ家に運んで食すイシサワオニグモ♀



2013年9月下旬

林道脇に正常円網を構えるイシサワオニグモAraneus ishisawai)♀成体の定点観察。

朝一番に見た時は網の甑(こしき)で下向きに占座していたクモが、いつの間にか円網左上の隠れ家に移動していました。
枠糸を固定した倒木の枝先を昼間の隠れ家としているようです。
ただし隠れ家と言っても、外からは丸見えです。
特に枯葉などでカモフラージュしている訳ではありません。


クモ生理事典2011」によるとイシサワオニグモは
網の一端を折り曲げて簡単な住居を作り,昼間はその中に 潜む.

脚先で信号糸?に触れ、網の振動を感知できるように待機。

現場の近くで捕獲したノシメトンボ♀(Sympetrum infuscatum
)を円網に投げつけ給餌してやりました。(予め前翅をむしってあります。)
ところが隠れ家のクモは知らぬ顔で無反応。
食欲がないのか、午前中は寝ているのか、あるいは網の振動が隠れ家まで伝わらなかったようです。
網にかかった獲物を草の葉でつついたらトンボが暴れ、ようやく気づいたクモが獲物に駆け寄りました。
(映像はここから。)
まず獲物に噛み付いて毒液を注入し、獲物の動きを止めます。
次に捕帯で獲物をグルグル巻きにラッピングし始めました。

前日(夕方)は獲物の包みを甑に持ち帰って捕食しましたが、今回(午前中)は甑を通り過ぎて隠れ家にテイクアウト。

前回の記事はこちら→「網にかかったオオアオイトトンボ♀を捕帯でラッピングするイシサワオニグモ♀(蜘蛛)
網の中央(甑)で白昼堂々、食事をするのは目立ち過ぎて野鳥やクモバチなどの天敵に襲われる危険が高いのでしょう。

獲物を枠糸に固定してぶら下げると下向きに静止し、身繕い。
ようやく落ち着いたクモが獲物の包みを手繰り寄せると、捕食開始。
食事(体外消化)の途中で何度も獲物を糸でラッピングし直します。
再ラッピングの際は捕帯の量が少ない気がします。
獲物が暴れているときとは違い、使う糸を倹約しているのでしょう。

クモが大顎でトンボの固いクチクラをカリカリ、バリバリ噛む音がときどき聞こえます。
初めクモはトンボの胸部を噛んでいましたが、やがて細長い腹部に口を付けて吸汁していました。
ノシメトンボ♀の尾端から卵塊が出ていました。
食事とラッピングを繰り返すと、次第に獲物はコンパクトな包みになりました。
体外消化が進むと、タンパク質が溶かされて獲物は真っ黒に変わりました。
翅がなければ最早トンボとは分からないでしょう。


つづく→「イシサワオニグモ♀(蜘蛛)の体外消化

腹部の両肩に突起がある。
腹面中央に外雌器と垂体が見える。
体外消化が進むと獲物は原形を留めず黒変。

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