2013/11/26

ギンリョウソウの花に群がるアメイロアリ♀



2013年9月上旬

スギの若い植林地の薄暗い林床にギンリョウソウの白い群落を見つけました。
里山の急斜面をつづら折れで登る細い林道です。
この珍しい腐生植物が、まさか杉林にも生えるとは意外でした。

マルハナバチなどが訪花して受粉を助けるらしいので、そのシーンを撮ろうと定点観察に通うことにしました。
暗い杉林は他に蜜源(花)が乏しく、マルハナバチなんか来そうもありませんが、果たしてどうでしょうか?

蕾が咲くのを待ってよく観察してみると、花が無毛なのでアキノギンリョウソウではありませんでした。
鼻を近づけて嗅いでみても花に芳香はないようです。

紺色の雌しべの先を黄色い雄しべが囲み、ハチを待つ。(『昆虫の集まる花ハンドブック』p53より)
白色の花をつける。その姿を銀色の竜にみなし銀竜草という。(Newton special issue『植物の世界2:ナチュラルヒストリーへの招待』p132より)
それならギンリュウソウになると思うのですが、ギンリョウソウに転じたのはなぜでしょう?
この花には香りはないが蜜を出す。(中略)花弁の下部が袋状になり、ここにかなり多量の蜜がたまる。 (Newton special issue『植物の世界2:ナチュラルヒストリーへの招待』p135より)



この日は極小の蟻が数匹ギンリョウソウの花の上を徘徊していました。
なんとなくヒメアリかと思ったのですが、YouTubeのコメント欄にてreleasewindknotさんから、アメイロアリParatrechina flavipes
だろうとご教示頂きました。

おそらく花蜜が目当てで集まってきたのでしょう。
他の種類のアリはギンリョウソウの群落に登ってこないのが不思議です。
アメイロアリが蜜源を独り占めしているのでしょうか?(占有行動)
腹部の節間膜が広がり縞々模様になっている個体は、散々吸蜜した後で満腹状態なのでしょう。

releasewindknotさんによると、

アメイロアリは特にそのうが発達していて沢山溜め込みます。

下向きに咲いているため、花筒の奥に入ったアメイロアリが何をしているのか、よく観察できません。
花の根元の裂け目から内部に潜り込んでいる個体が気になりました。
これは一種の盗蜜行動でしょうか。
この裂け目がアメイロアリによって噛み切られたのなら穿孔盗蜜ですけど、定かではありません。
今季は蜂の盗蜜行動に興味を持って色々と撮影しているため、私の考えすぎ(思い過ごし)かもしれません。

後日に再訪した際も、同様にアメイロアリがギンリョウソウの花に群がっていました。
予想通り、蜂類による訪花は一度も見られませんでした。
果たしてアメイロアリの訪花だけでギンリョウソウは受粉できたのでしょうか?
(実がなるのかどうか、興味があります。)

つづく→「ギンリョウソウの花に出入りするアメイロアリ♀


【追記】
ピッキオ編『花のおもしろフィールド図鑑:夏』p87によると、
ギンリョウソウは数少ない、昆虫にも真っ白に見える花のひとつです。他に花のない薄暗い林の中、ギンリョウソウの真っ白な体は目立ちます。



【追記2】
盛口満『生き物の描き方』によると、
 ギンリョウソウは、菌根菌から一方的に栄養をもらい、成長する植物なのである。森の地下で、菌根菌は提供する植物を探して菌糸を伸ばす。しかし、誤ってギンリョウソウと接触してしまうと、ギンリョウソウに一方的に栄養を吸い取られる羽目になるということだ。(p122より引用)



橙色に見えるのが雄しべ

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