2010/12/26

ニホンカワトンボの情事




2010年6月下旬

渓流でニホンカワトンボMnais costalis)の交尾を初めて観察しました。
縄張りを守っていた♂を撮っていたら♀が通りかかりました。
すかさず飛び立った♂が把握器で♀の首根っこを捕まえ、岸の葉上にエスコート。
そのまま♀が腹部を曲げて交尾器を結合しました。(移精)
♀は翅を立てたまま。
一方、♂はときどき翅を広げます。
しばらくすると♂がハート型の連結を解いて少しだけ飛んで移動し、♀と向き合いました。
翅をときどき開閉しています(求愛ディスプレイ?)。
♀は静止したまま余韻に浸っている?...と油断していたらペアが別れて飛び去るシーンを撮り損ねてしまいました。
最後に一瞬だけ画面を横切ったのが♀かもしれません。
ニホンカワトンボ♂は♀の産卵まで付き添って交尾後ガード(尾つながりによる♀の警護)を行わないようで、少し驚きました。
なんとも淡白な関係です。
♂は渓流の枝に止まり、翅を開閉しつつ縄張り防衛の任務に戻りました。 

本種♂は非常に興味深い繁殖戦略を示すそうです。
今回の映像に登場する♂は翅が橙色型の一匹だけですが、このタイプは縄張り争いで強く、ご覧のように交尾相手を得ることができます。
集団中には翅が♀と同じく透明型の♂(喧嘩には弱い優男)も居て、彼らはスニーカー(間男)戦略で♀を得ると、それまでに交尾したライバル♂の精子を掻き出してから交尾に及ぶらしい(精子競争)。
彼らの熾烈なラブゲームの様子をいつか動画に撮ってみたいものです。


【追記】

  • ヒガシカワトンボ(ニホンカワトンボの旧名)の交尾で♂は把握器で♀の頭部をつかみ、♀は生殖門を♂の第2生殖器にあてている。この姿勢で交尾に先立って、ほかの♂の精子の掻き出しが行われる。
  • カワトンボの交尾は50〜150秒であるが、はじめから80%くらいの時間は精子の掻き出しに費やされる(注意深く観察すると♂がペニスを動かしているのが見える)。

『日本動物大百科8昆虫Ⅰ』p70-71より

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